洞窟で…

  • スレ1-173
  • 洞窟で…
  • 07/09/12 23:49:51
下手だと思うが書いてみるよ…



「ねえ~もう戻ろうよ~」
そう背後からヒカリの声がしたがサトシは振り返らず
「心配すんなって、もうちょっと行ってみようぜ」
そう返し、構わず薄暗く足場の悪い道を進んでいく。
「はぁ…」
ヒカリは溜め息をはくもしぶしぶサトシの後をついて行く。さっきからこのやり取りの繰り返しで、どんどんと洞窟の奥に入っていく。
この洞窟に入ってから既に結構な時間がたっているのだがサトシは疲れた様子など微塵も見せずむしろ進めば進むほど元気なってその上鼻歌まで歌っている。
ヒカリはというと別に疲れたというわけではないが、この洞窟の放つ異常な程不気味な雰囲気にあてられ不安と危機感を覚えていた。
そもそも、何故こんな薄暗い洞窟に入ったたのかというと、それは数時間前にさかのぼる―

  • スレ1-176
  • 洞窟で…②
  • 07/09/13 00:34:12
サトシ達一行は次の町を目指し旅を続けていた。
先ほど挑まれたタッグバトルも見事勝利しその後もいくつかのトレーナー達と戦い、意気揚々と歩いていた矢先の事である。
「今日はここでキャンプしよう」
と突然タケシが提案したのが始まりだった。
日は高く、まだぜんぜん行けると思っていた二人は驚き
「何でだよ?」
「何でよ?」
と同時に聞き返す。
それを聞いたタケシは苦笑いしつつ
「この先は道が険しく、その上数日前の雨で足場も悪くなってる。だから今日は休んで明日に備えた方がいい」
と諭すような口調で説明を始めた。なおもタケシは続ける。
「そして、お前達はよくてもポケモン達をよく見てみろ、連続したバトルでかなり消耗してるだろ?」
そういわれた二人は各々の手持ちを外に出す。
言われてみると確かにポケモンたちは疲れた様子をしていて少し辛そうだ。
二人はタケシの言う事を納得した合図として頷き
「みんなよく頑張ったな、今日はゆっくり休んでくれよ」
「お疲れ様♪」
と労いの言葉をかける、その言葉を聞き皆嬉しそうにはしゃぐ。
「じゃあキャンプの準備だ。手伝ってくれ」
「おう!」
「わかったわ」
三人は野営の準備に取り掛かった―

  • スレ1-177
  • 洞窟で…③
  • 07/09/13 00:45:23
それからしばらくしてキャンプもでき、一息ついていたころサトシは一人うずうずしていた。
なにせ今日はまだ日も高く、何よりする事がない。
ポケモン達と特訓をしてもよかったのだが、皆の寝顔を見るととても起こす気にはなれなかった。
ならば散歩でもしようではないか、という考えが浮かび
「タケシー!ちょっと散歩してくるぜ!」
そう言ってから近くの森に向かって走り出そうとしたのだが予想外のことが起こった。
「あっ!?待って私も行く!」
そうヒカリが言ったのだ。
「いいけど…特に何もないと思うぜ?」
「それでも行く!私も暇なんだもん♪」
「行くのはいいが…あまり遅くならないようにな」
タケシは一応忠告をする
「大丈夫だって。な?ヒカリ?」
「大丈夫、大丈夫♪」
そういって二人は森に向かって勢いよく走り出した。

  • スレ1-180
  • 洞窟で…④
  • 07/09/13 01:12:45
森に入てからしばらくの間、二人は他愛もない話しをしながら歩いていた。
この森の様子
次の町の予想
どんなバトルがしたいのかという事
どのようなトレーナーになりたいかという事
それとちょっとした昔話などで話しの花を咲かせる。
そして最後に自身の目標の確認…
「俺はチャンピオンリーグを優勝するために!」
「私はグランドフェスティバルで優勝するために!」
そう高らかに宣言し拳を握り締める。
その声で驚いたのか鳥ポケモン達が数羽、どこかへ飛び去った。
「ちょっとうるさかったみたいだな」
「そうみたいね」
と笑顔で会話した後、聞こえていたかは不明だったが飛び去った鳥ポケモン達に向かってほぼ同時に謝罪の言葉を伝えた。
「うるさくしてごめんねー!」
「うるさくしてごめんなー!」
声が重なって何倍にも大きく聞こえる。
「さて、そろそろ帰るか?」
「そうだね」
と来た道を振り返った時サトシは気づいた。
なにやら引き込まれるような感覚を覚える不思議な洞窟を、それはサトシの好奇心を強く刺激するのには十分だった。
そして
「なあ、ちょっと行ってみないか?」
サトシはそうヒカリに切り出した
「なんか不気味な感じがするんだけど…それに遅くなるとタケシが心配するよ?」
と消極的な口調で答える。
「ちょっとぐらい行っても大丈夫だって」
サトシは笑顔でそういうと入り口が大きな洞窟の中に入っていった
「ち、ちょっと待ってよ!」
ヒカリもサトシの後に続いて洞窟に入っていった…

  • スレ1-183
  • 洞窟で…⑥
  • 07/09/13 02:46:16
もうどれだけ進んだであろう?
入り組んだ道を進んでいたためか二人の平衡感覚はなくってきており、意識も朦朧としている。
お互い限界が近い事が判っていたのか無意識に肩を組み、支えあうように歩いていた。
そしてついに一筋の光を見つけたのである
二人の顔に安堵の色が浮かび自然と足も軽くなる。
そしてやっと出口にたどり着いたのである。
「はあ…はあ…もうだめ、だいじょばない…」
「お…俺も…はあ…はあ」
そのまま二人はその場に倒れてしまった。

  • スレ1-184
  • 洞窟で…⑦
  • 07/09/13 03:09:53
「二人とも起きろ!おい!」
突然聞きなれた声で呼ばれて二人は寝ぼけ眼のまま起きた。
既に日は沈みかけ、辺りが薄暗くなり始めたころだった。
「何だよタケシ…」
「なに~…」
「何とはないだろ!何とは!まったく、遅くなるなって言っただろ!」
タケシが少し怒った口調で話す、その様子をみて二人は思いきり笑った。
「笑う事じゃないだろ、人がどれだけ心配したと思ってるんだ…」
その言葉を聞き、二人は笑うのをやめ
「悪かったよ…」
「ごめんなさい…」
とタケシに謝った。
「まあいいっか、二人とも何もなかったみたいだしな」
タケシのその言葉を聞いて今度は二人が怒り始めた。
「何ともなかったわけないだろ!」
「本当、大変だったんだから!」
そう言ってから事の一部始終を話す。
だがタケシは困った顔をして
「洞窟っていってもそこには何もないぞ?夢でも見たんじゃないか?」
とその場所を指差した。振り返るとそこはタケシの言うとおり何もなくただ切り立った崖があるだけで何もない。
「確かにここにあったはずなに…」
「何でなくなってるんだ…」
そう呟き、今までのが夢だったのかと二人は顔を合わせる。
だが、二人が同じ夢を見るなんて事はありえないだろうし、なにより服はとても汚れている。
それを確認したあと二人は頷きあう。
どうせ信じてくれないのなら二人だけの秘密にしよう、という意思の表れであった。
「なんだがよくわからんが、いい経験したみたいだな。それよりお前達、お腹空いてるだろ?」
「言われてみれば…」
「そんな気が…」
「じゃあ飯もできてるし、戻るか?」
「ああ!」
「賛成♪」
三人はゆっくりと元居たキャンプへ戻って行く。
キャンプにつくとそこには焚き火を囲みすっかり楽しんでる大切な相棒達がいて三人を暖かく出迎えてくれた――


―End-