支えあうということ
- スレ1-216
 
- 支えあうということ
 - 07/09/16 01:34:10
 
 サトシたち一行は歴史ある静かな港町、ミオシティにやってきた。 
 到着したのは夕方の時間帯、しかし空を厚い雲が覆っており、日の暮れぬうちから辺りは既に薄暗い。 
 この雲が降らせたのだろう、街は数センチの雪に覆われ、美しい銀世界となっていた。     
 一行はとりあえずポケモンセンターに宿を求めることにした。 
 普通の旅人なら窓からゆっくり街でも眺めながら休息を取るところだろうが、ここはジムのある街である。サトシが大人しくくつろぐ訳が無かった。 
 サトシはポケモンの回復が済むや否や、早速ジム戦前の特訓に取り掛かった。   
 「よーし、明日は早速ミオジムに挑戦だ! みんな張り切っていこうぜ!!」 
 サトシの掛け声にポケモンたちが続いていっせいに声をあげる。   
 「ねえサトシ~。ジム戦練習もいいけど、せっかく雪が積もってるわけだし、雪遊びしない? 明日にはもう雪解けちゃうかもしれないよ」 
 「俺は雪遊びはやめとくよ。そんなことより明日のジム戦練習だぜ! 
 別に俺たちがいなくてもヒカリとヒカリのポケモンたちで遊べばいいだろう?」   
 サトシがそういうと、ヒカリは少し寂しそうだった。     
 それから数時間後、練習を終えたサトシがポケモンセンターの建物に戻ってきた。 
 部屋に入ると、ヒカリはパジャマ姿で、今にもベッドに入ろうとしていた。 
 別にヒカリが早寝をするわけではない。時刻は既に11時。サトシは時も忘れて練習に熱中していたのだ。 
 そんなサトシは疲れも見せず、挨拶代わりにヒカリに声をかけた。   
 「ヒカリ、雪遊びしたんだろう? 楽しかったか?」 
 「ううん、今日は雪遊びしなかったの」 
 「なんでだよ? すごくやりたそうだったのに」 
 「別にいいでしょ…やりたくなくなったから、やらなかっただけよ」 
 「そうなのか? それならいいけど…… 
  もう寝るんだろう? おやすみ、ヒカリ」 
 「うん、おやすみサトシ」   
 そういうなりヒカリはそそくさとベッドに入り、シーツに潜り込んでしまった。 
 サトシはヒカリの態度に若干納得のいかぬものを感じ、なんか変だなあ、と思いつつも 
 明日のジム戦に備えて、深く考えはせずに就寝したのだった。  
 
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- 支えあうということ②
 - 07/09/16 15:09:08
 
 翌日、サトシはまだ日も出ていない早朝から特訓の続きに取り掛かった。 
 ヒカリは朝目覚めるとすぐ窓の外にそのサトシの姿を見たのだが、どうもいい気分がしない。 
 ジム戦練習を頑張ってるのは分かるけど、ちょっとくらいは私のことも考えてよ…、とヒカリは思う。 
 しかしその気持ちを胸のうちに押さえ込んでヒカリは朝の身支度を始める。   
 …どうも髪がうまくまとまらない。ポッチャマのバブル光線も、以前~ヨスガへ行く途中だったっけ~店で初めて買って以来お気に入りとなっているスプレーも、まるで効果がないようだ。 
 それでも何とか身支度を済ませたころ、ヒカリはタケシにそろそろ朝食の時間だと告げられた。 
 タケシにサトシを呼んでくるよう頼まれたヒカリは、笑顔を繕ってサトシのいる庭へと向かう。   
 「サトシー、朝ごはんの時間よ! ちょっと一休みしたら?」 
 「えー、今練習がいいとこなんだ。俺は後でにするよ。別にそれでいいだろ?」 
 「でも…朝ごはんくらいみんなで食べたほうがいいんじゃない? 
  あんまり頑張りすぎるとジム戦のとき疲れちゃうんじゃ…」   
 ヒカリは心のもやもやを抑えて必死にサトシを思いやる。しかし…   
 「何だよヒカリ! 俺に練習するなって言いたいのか!? 
  ジム戦ってのは半端なガッツで勝てるような甘いもんじゃないんだぞ! 
  余計なおせっかいはよしてくれ!」   
 若干の気まずい沈黙が二人の間を流れる。 
 サトシが、言い過ぎたかな、と思いつつヒカリの顔に目をやると、ヒカリの目はじわりと涙を含んでいた。   
 「ヒカリ、ちょっと言い過ぎちゃっ… 
 「何よサトシったら! 昨日からジム戦だ特訓だって言って……昨日の雪遊びは私の勝 手だからしょうがないけど、今なんか私はサトシのこと心配して言ってるのに…」 
 「でもさ、ジム戦は俺にとってほんとに大事で…   
 サトシの言葉をさえぎって、「サトシの馬鹿!!」と涙ながらに叫ぶと、 
 ヒカリはサトシに背を向け、ポケモンセンターとは反対の方向、街の中へと走り去ってしまった。 
 今になって自分の非に気づいたのだろう、サトシは呆然とその場に立ちすくんでしまった。  
 
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- 支えあうということ③
 - 07/09/17 00:33:41
 
 「あ~あ、どうしようかなあ。ポケモンセンターに戻るわけには行かないし、かといって行くとこもないし」     
 ミオの街の美しい銀世界とは対照的に、空の雲はますますその厚みを増し、今にも雪が降ってきそうだ。 
 街中を当ても無く歩き回っていると、ヒカリは小さな商店の窓ガラスに「ミオの丘」なる小高い山の写真の載った広告を見つけた。 
 それによれば、「ミオの丘」はミオシティとその西隣の町との間にある山のことで、標高は2,300メートルと意外に高く、 
 ハイキングコースが整備され、周辺の町の人々の行楽地となっているらしい。 
 広告に載っている地図には、大体の位置が示されていた。北を海に、南を山に挟まれているミオシティであるが、その海と山は、 
 西隣の町まで続いており、「ミオの丘」もその一角にある。 
 そこへ行くには、西隣の町への海沿いの一本道を進み、途中で南へと山を登るハイキングコースへ入ればよい。 
 「ミオの丘かあ。いい景色でも見て気分を落ち着かせれば、笑顔でサトシの応援できるかなあ。うん、きっとだいじょうぶ…とにかく行ってみよう」   
 早速ヒカリは出発し、西隣の町への道に入った。道は案外広く、車もいくらか通るようだ。 
 しかし右手には北の荒々しい海、左手には白く色づいた山が道のすぐそこまで迫っている。 
 そんな厳しい自然の圧力に耐えつつ歩いていると、ついに雪が降り出した。 
 「うわーん!こんな寒々しい道に雪まで降り出すなんて、ホント最悪! 
 全然だいじょばないよ…でも戻るわけにもいかないし」   
 そして歩いていると、いつの間にか道の左右は開けてきて、質素な町並みが姿を現した。 
 そう、西隣の町まで来てしまったのだ。 
 「うそ!? 町に出ちゃった。ハイキングコースの入り口なんて見当たらなかったのに!」 
 すぐに引き返して、見逃してしまったハイキングコースを捜そうとしたヒカリだったが、 
 ちょっとくらい街を見ていこう、と思い、町の中へと入っていった。    
 
- スレ1-240
 
- 支えあうということ④
 - 07/09/17 00:34:45
 
 ミオの西隣にあるこの町は、ごく小さな町で、家々がまばらに立ち並ぶのみのようだが、雪の銀に染まって、美しい。 
 そんな町の外れに、ヒカリは重厚なレンガ造りの大きな建物を見つけた。見上げると建物のバックには白く高い山が迫っている。   
 「ずいぶん大きな建物ね。高さはせいぜい三階だてくらいだけど、周りの家とは存在感が違う感じがする… 
 それにしてもどうしてこんな田舎の町外れにこんな大きな建物があるのかしら?」   
 そんなヒカリの独り言に、 
 「これはお酒の工場なのよ。とても古いけど、今も元気に動いているの」 
 と、女性の声が答えた。年は中年くらいだろうか。 
 「あなた、一人でこんなところに来て、どうしたの? 
 …なんかすごくさびしそうだけど」 
 「おばさんはどうしてこんなところに?」 
 「私は、夫がここで勤めてるから、毎日散歩でここを通ることにしてるの。 
 今日もあの人は頑張っているのね、って思いながら。 
 あなたもしお暇なら、私の家にいらっしゃる?悩みがあるならお話を聞くわよ?」 
 「でもおばさんはいいんですか?」 
 「いいのよ。私は専業主婦だから時間ならいくらでもあるわ」   
 おばさんの家は工場の近くにあった。そこにお邪魔したヒカリは、早速、事の一部始終を話した。     
 「なるほど、そんなことがあったのね」 
 「はい。私が勝手に心配して、結局サトシの邪魔になっちゃったみたいで… 
 サトシはジム戦練習で忙しいってこと、私もよく知ってるのに」 
 「そうねぇ……ヒカリちゃん、ちょっと私の昔話を聞いてくれないかしら? 
 きっとあなたの参考にもなるわよ」 
 「そうですか? じゃあ、ぜひお願いします!」   
 正直、どうすればいいのか分からなくなっていたヒカリは、おばさんのお話に真剣に耳を傾け始めた。    
 
- スレ1-241
 
- 支えあうということ⑤
 - 07/09/17 00:46:22
 
 おばさんの話はこうだった。 
 昔、子供の頃、おばさんはポケモンコーディネーターを、おばさんの幼馴染だった男の子はトレーナーを志していた。 
 そう、この男の子が今のおばさんの夫である。 
 今となってはもうおじさんだけれどね、とおばさんは付け足す。 
 10歳になって、二人がもうすぐ最初のポケモンをもらって旅だとうとする頃、 
 おじさんは悩んだ末、トレーナーになるのを諦めてしまった。 
 というのも、おじさんの父はコトブキ酒造、つまり先ほどヒカリの見た工場に勤める熟練の技術者で、 
 シンオウどころか全国で有名なコトブキウイスキーというブランド品を、創業者とともに作り上げたすごい人なのだそうだ。 
 そんな父の背を見て育ったおじさんは、酒造にも大きな興味を持っていたのだ。   
 「ポケモントレーナーになるのはやめる、ってあの人から聞いたとき、 
 私は腹が立って、さびしくて、でも認めてあげなきゃとも思って・・・すごく混乱しちゃったの。 
 だって工場で働くって事はもうほとんど私と会えなくなるってことなのよ。 
 それくらい酒造の世界は厳しいの。 
 私はあの人のこと、あのときから気になってたのよ。 
 だからこそ、ついむきになって、『あんたなんか大嫌い!!』って言っちゃって。 
 それから数ヶ月は顔もあわせなかったわ。そしてその間に私はコーディネーターとして旅立った。」   
 「でもね、しばらく旅をして、久しぶりにこの町に戻ったとき、あの人の様子が気になって、工場を覗いてみたの。 
 そうしたら、あの人が汗をかきながら、一生懸命お酒造りの下働きをしていて… 
 それを見て、私、なんか感動しちゃって… 
 そして、思ったの。あんなに頑張ってるあの人をやさしく支えてあげられたら、 
 幸せだろうなあ、ってね」   
 その日、おじさんの仕事が終わった後、おばさんはおじさんと仲直りをして、 
 以来時々顔を合わせるようになった。そして何年か経って、結婚した。    
 
- スレ1-242
 
- 支えあうということ⑥
 - 07/09/17 00:47:00
 
 「だからね、ヒカリちゃん。大事なのは相手を支えてあげること。 
 もちろんヒカリちゃんもトップコーディネーターを目指すのなら、そこは逆に支えてもらえばいいわ。」 
 「支えること、ですか。うん、確かに大事ですね。 
 私も、純粋にサトシを支えてあげたいなあって思います」 
 「その気持ちがあれば大丈夫よ、ヒカリちゃん。 
 サトシ君とうまくいかないことがあっても、支えるって気持ちさえあれば、絶対また仲直りできるわ」 
 「はい、ありがとうございます!なんかちょっと元気が出てきました!」   
 その後二人は少し雑談をして、ヒカリは工場を見学させてもらうことになった。 
 さっそくおばさんの家を出て、工場の前にやってくると、 
 遠くから妙に響く大きな足音がザクッザクッと聞こえてきた。  
 
- スレ1-243
 
- 支えあうということ⑦
 - 07/09/17 00:48:18
 
 「ヒカリー!!」 
 そう呼ぶ声が足音に混ざって聞こえ、それはどんどん大きくなっていった。 
 「サトシ!? サトシ!!」 
 声の主はサトシだった。相当なスピードで駆けてきたのだろう、サトシは息が上がっており、ぜーぜーと荒々しい呼吸をしている。 
 そんなサトシの身体を支えつつ、ヒカリは尋ねる。 
 「どうしてここが分かったの?」 
 「いろんな人に聞いて、ムクバードにも協力してもらったんだ。見つけるの苦労したんだぞ!」 
 「ありがとう… 
 あっ! でもジム戦はどうしたの!? 今日出るんじゃなかったの?」 
 「いや。ヒカリを怒らせちゃって、一人でいなくなっちゃって、 
 そんなときにジム戦なんかしてる場合じゃないだろ?」 
 「でも私、勝手にサトシを心配して、勝手に怒って、サトシに迷惑かけちゃったのに、どうしてそんな優しくしてくれるの?」 
 「え? どうしてって… 
 そんなの、ヒカリが大事だからに決まっているだろ? 
 それより、俺のほうこそ、ヒカリはせっかく俺の心配してくれてたのに、応えてあげられなくて、ごめんな」 
 「サトシ、ごめんね! あと、ありがとう! 
 私、さっきまでサトシがいなくてすごくさびしかった…」   
 そう言って、感極まったヒカリは、泣きそうな顔をサトシの胸にうずめた。ヒカリの肩が震えている。 
 …無理もない。複雑な心境の中、あの海と山とに挟まれた厳しい道を一人で歩いてきたのだから。 
 おばさんと話して一時は気持ちが落ち着いたものの、サトシに会った安堵から、さっきの怖さや悲しさがあふれてきたのだろう。   
 しばらく経って、ヒカリの涙がおさまった頃、おばさんが二人に工場見学を改めて誘う。二人は笑顔で「はい!」と元気な返事を返した。   
 そしてサトシとヒカリはおばさんに連れられて工場を見学した。 
 工場内の歴史ある重厚な器具や樽は、100年近くに渡って確かな品質のお酒を造ってきただけの貫禄を持っていたが、 
 どことなくサトシとヒカリを応援しているようにも見えた。 
 そこではおじさんにも会った。おじさんはサトシとヒカリを見て、そしておばさんから昨日と今日の二人のストーリーを聞いて、 
 「俺ももっとあんたのことを考えてやれたら、何ヶ月も喧嘩することにはならなかったかもなあ」とつぶやいた。  
 
- スレ1-244
 
- 支えあうということ⑧
 - 07/09/17 00:49:21
 
 工場見学が終わると、サトシとヒカリはおばさんたちと別れ、例の「ミオの丘」に向かった。 
 いつの間にか雪は止み、雲さえ大分薄くなっていた。 
 ミオへ通じる道は、ヒカリが行き通ったときと変わらず、海は荒々しく、白い山もすぐそこまで迫っているが、今は全然怖くも寂しくもない。 
 むしろ、「やっぱり大自然の迫力はすごいわねー! サトシ!」などと楽しんでいるくらいだ。 
 行きは全然気づかなかったハイキングコースの入り口も、何であの時気づかなかったの?、というくらいに分かりやすいものだった。   
 「海沿いの道は車も通ってちょっと難だけど、ハイキングコースは気持ちいいな」 
 「そうね! 雪が積もってちょっと歩きづらいけど、空気もいいし、天気もいいし、最高!」   
 ハイキングコースの終点は、「ミオの丘」の展望台である。丘の背後にはまだまだ高い山々が連なっているのだが、反対の海側からは、右にミオシティ、左にさっきの町が望め、その先には北の雄大な海が広がっている。 
 いつの間にか太陽は西へ傾き、海と、さっきの町とを鮮やかな赤に染めている。雲はほとんど取れ、わずかに残った雲も太陽に染められ、風景に美しさをプラスしている。  
 
- スレ1-245
 
- 支えあうということ⑨
 - 07/09/17 00:51:14
 
 「夕日、きれいだね、サトシ」 
 「ああ、そうだな」 
 「あのさサトシ、さっきのおばさんにね、お互い支えあうことが大切だって言われたの。 
 これからは私ももっとサトシこと考えて、声をかけるようにするから…」 
 「いや、いいんだよヒカリ。ヒカリは俺のことを考えてくれたんだから。 
 ヒカリがせっかく朝飯に呼んでくれたのにな 
 …まあ、あんまり深く考えてもしょうがないか。 
 これからもよろしく! って事で、いいよな?」 
 「そうね、改めてよろしく! 
 …ところでさ、サトシ?」 
 「何?」 
 「あのさ…おばさんたちは、喧嘩して、仲直りして、その後結婚したじゃない?」 
 「うん、確かにそうだ」 
 「だったら、もしかして私とサトシも…… 
 って、そんなわけないよね! もうまったく私ったらだいじょばないだいじょばない!!」 
 「どうしたんだヒカリ? 
 何独り言言って… 
 「何でもない何でもない! 気にしないで!」 
 「そうか、ならいいけど… 
 ヒカリが何言おうとしたのか良く分かんないけどさ、またいつかこうやって二人でいい景色とか見られたら、最高だよな! 
 何でだかわかんないけど、二人だけでいい景色を見る、ってのはまた格別な気がしてさ…」 
 「そうね! 私もそう思う」     
 会話が途切れてもなお夕日に見入っていた二人だったが、 
 ヒカリは不意にさっきのおばさんとおじさんの顔を思い出した。 
 同時に自分の家の、母の部屋にあったウイスキーの棚を思い出す。 
 きっとさっきの工場で造られた、コトブキウイスキーのブランドもその中に多くあったろう。 
 ヒカリの記憶の中のウイスキーのビンは、豊かな飴色の光を放っていた。 
 ヒカリにはその光が、人の心を支えてくれるような、深い優しさに満ちているように見えてしょうがなかった。  
 
- スレ1-249
 
- 支えあうということ(おまけ)
 - 07/09/17 01:12:39
 
 夕日を見てしばらく経つと、二人はふと朝から何も食べていないことに気づいた。 
 それと同時にお腹が鳴る。   
 「お腹もすいちゃったし、そろそろ帰ろ!」 
 「ああ、そうだな! きっとみんな心配して待ってるだろうな」 
 「だいじょうぶ! 私たちこうして仲直りできたんだから」 
 そう言いつつヒカリはサトシの手をとって歩き出す。   
 「ヒカリ!?」 
 「いいじゃない。仲直りのしるしってことで!」 
 そうして二人仲良く手をつなぎつつ帰路についたのだった。     
 ポケモンセンターに着くと、タケシがちょっと困ったような、でも優しい笑顔で出迎えてくれた。 
 その笑顔にサトシとヒカリは声をそろえて応える。   
 「「ただいま、タケシ!!」」     
 (終わり)