秋に・・・

  • スレ1-381
  • 秋に・・・①
  • 07/10/06 23:46:50
サトシ、ヒカリ、タケシは旅を続けていた。
そして、街についた。
「ここは、なんて街なの、タケシ?」
とヒカリ。
「ここはモミジバタウン、秋に、紅葉やイチョウが綺麗な街なんだ」
「へえ~。」
「特に、ジバシリ山の紅葉は綺麗らしい。ちょうど今が綺麗な時期みたいだぞ。」
「そうなんだ、綺麗なんだろうな~。行ってみようよ、サトシ!」
「紅葉よりも、俺腹減ったよ。なあ、ピカチュウ。」
「ピカ~」
とピカチュウもうなずいた。
「もう、本当にサトシは食欲の秋ね。」
ヒカリは呆れた。と、ぐ~とヒカリのお腹がなった。
「なんだ、ヒカリも人の事言えないじゃないか。」とサトシ。
「だって、お昼ご飯まだ食べてないんだも~ん。ねえ、ポッチャマもお腹空いたでしょ?」
「ポチャ!」
「分かった、分かった」
とタケシ。
「この地図によると、この先に美味いお店があるみたいだぞ。ここは、今期間限定で秋の味覚
ランチを出してるらしい。」
「なんだか、美味しそう!」
「そうと決まれば行こうぜ!」

そして、場所は変わって、そのお店。
まだ、人で賑わっていた。席はいっぱいらしく、1人の先客が、順番を待っているようだった。
その先客はサトシとヒカリと同じぐらいの年頃の男の子だった。
「こんにちは、君達もこのお店の評判を聞いて来たのかい?」
と、声をかけてきた。
「はい、しかし、これほど人がいっぱいとは…」とタケシ。
「あ~、腹減ってるのに待ち時間長そうだな~」
「私、大丈夫じゃないかも」
その先客は、笑って言った。
「もう少しで席があくみたいだよ。
僕はタカヒロ。コンテストを巡ってリボンを集めてるんだ、グランドフェスティバルを目指して。」
「俺、サトシ。。」
「私はヒカリ、私も、コンテストを巡って、リボンを集めてるの。」
「自分はタケシ。」
自己紹介が終わったところで、店員が声をかけてきた。
「あの、4人で座れる席があいたんですけど、お客様方が一緒に座れば、みんな座れるんですが、
どうしますか?」
タカヒロは言った。
「せっかくみんな知り合ったんだ、一緒に食事しようよ」
誰も反対するものはいなかった。サトシとヒカリは空腹も限界だったので、そもそも反対する気力もなかった。


  • スレ1-382
  • 秋に・・・②
  • 07/10/06 23:47:54
食事の時、ヒカリは同じ目標を持ってるタカヒロに興味津々だった。
「タカヒロはリボン何個集めたの?」
「僕は、2個なんだ。」
「すご~い、私、まだ1個なんだ…、ヨスガのコンテストでは一次落ちしちゃって…。」
「ヨスガは実力者が集まる大会だからな。ノゾミとナオシって人すごかった」
「ノゾミにはいろいろ助けてもらってるんだ、アドバイスして貰って、本当にノゾミには
感謝してる。ナオシさんとも知り合いなんだよ」
ヒカリとタカヒロの会話ははずみ、サトシとタケシは蚊帳の外であった。
「ヒカリ、楽しそうだな」とサトシ。
「同じ目標を持つ者同士、話が合うんだろう。」とタケシ。
「だろうな。美味いな飯。とにかく食おうぜ。」
「そうだな。」
ちょっと、サトシがちらちらとヒカリとタカヒロを気にしてる事にタケシは気づかなかった。
サトシは、ヒカリがタカヒロとの会話に夢中になってるのがなんだか面白くなかったが、何故
なのかは分からなかったので、とりあえず、目の前にある美味しい食事を食べる事に集中した。
「ヒカリと一緒に旅してるサトシも、リボンを集めてるのかい?」
「違うよ、サトシはジムを巡ってるの、ね、サトシ?」
「…うぐ!!!」
きゅうにヒカリに話しかけられて、ひたすら食べていたサトシは喉につまらせてしまった。
「ちょっと、大丈夫、サトシ?!」
ヒカリは驚いて、サトシの背中を叩いたり、さすったりした。
「ほら、水飲んで…」
とタケシがサトシに水を手渡して、サトシは飲んで、なんとか苦しさから開放された。
「はあ、死ぬかと思った…」
「もう、心配させないでよね!」
「わりい、わりい…」
そして、タカヒロが話しはじめた。
「サトシは、ジム回ってるのなら、バッジ何個集めたの?」
「2個。ヨスガのジムで3個目をゲットするつもりだったんだけど、留守だったんだ。」
「へえ…」
「でも、ジム戦やってたら、サトシはきっと、3個目ゲット出来てたと思うよ。
サトシ、今までだってちゃんとジム戦を勝ち抜いて来たんだから!」
とヒカリ。
「当たり前だ!ヒカリも次のコンテストでは絶対リボンをゲット出来るさ。」
「ありがとう、サトシ。そうだ!コンテストの事なんだけど、私、タカヒロと特訓する事にしたんだ。」
「え、特訓?」


  • スレ1-383
  • 秋に・・・③
  • 07/10/06 23:48:54
「ヒカリがぜひ、特訓したいって言うから、僕も付き合う事にしたんだ。ヒカリの力になりたいと思ってね」
とタカヒロ。
「タカヒロってリボン2個だし、それに、話をしてると、知識もいっぱいみたいなの!」
とヒカリは嬉しそうに話した。
「君も一緒に特訓するかい、サトシ?」
「俺は良いよ…。ヒカリ、紅葉見に行くんじゃなかったのか?」
「そのつもりだったんだけど、予定変更して、紅葉は特訓の後!せっかくの機会だし!」
とヒカリはやる気満々である。
「サトシも、せっかくだから一緒に特訓しようよ!ジム戦に役に立つかもしれないよ?」
とヒカリの誘い。いつもなら、一緒に特訓しそうなものだが、今日は、何故かサトシはその気にならなかった。
なんだか、気分が乗らなかった。
「俺はいいって。」
「…サトシ?」
なんだか、いつもとちょっと違う雰囲気のサトシをヒカリは不思議に思った。
「ヒカリ、サトシがああ言ってるんだから、特訓は2人でやろう」
とタカヒロが言った。
「ちょっと、待って。タケシはどうするのか聞いてみないと…」
と、ヒカリがタケシの方を見ると、タケシは、席にいなかった。
「お姉さん~自分はタケシと…ぐあ…!」
美人な店員さんに言い寄ろうとしてグレッグルの制裁を受けていた。
ため息をついてヒカリは言った。
「じゃあ、私は特訓するから。タカヒロの話だと、ジバシリ山の近くにポケモンセンターがあるから、そこで待っててね。
特訓終わったらすぐ行くから!」
そういって、ヒカリとタカヒロは特訓に行った。サトシはそれを見送った。
「いっちゃったけど、ヒカリについて行かなくてよかったのか、サトシ?」
と早くも毒から回復したタケシが言った。

  • スレ1-426
  • 秋に・・・④
  • 07/10/13 00:52:19
タケシは不思議に思った。いつものサトシなら、はりきってついていきそうなものなのに。
「別に良いだろ。それより、ジバシリ山近くのポケモンセンターに行こうぜ。」
なんだか面白くなさそうでイライラした雰囲気のサトシにピカチュウは心配そうにサトシを見た。
「ピカピ…。」
タケシは言った。
「そういえば、どこに特訓行くんだろう、サトシ聞いてないか?」
「いや、聞いてないけど」
「場所ぐらい一応聞いておいてくれよ…。特訓の後、紅葉を見に行くって言ってたのか、ヒカリは?」
「そう言ってたけど。」
「なら、なおさら聞いておかないと、日が暮れるまで特訓してたら紅葉見に行けないかもしれないぞ。」
「別に俺は見に行きたかった訳じゃないから、どうでもいいよ。そのときはそのときだ。」
「サトシ…(何か不機嫌だな…)ピカチュウ、サトシ何かあったのか?」
「ピ~カ~…」
不機嫌そうなサトシをタケシとピカチュウは心配そうに見つめた。

そうこうしているうちに、ポケモンセンターについた。
ジョーイをタケシはいつものように、手を握って、言い寄ったが、本日二度目のグレッグルの制裁にあった。
「あなた達も、ジバシリ山の紅葉を見に来たの?」
「はい、そうなんです。」
「ここの紅葉は本当に綺麗よ。ぜひ、見に行ってね。今は、時間があるから、私のオススメのルートを教えてあげるわ。」
とジョーイは地図を取り出して説明しはじめた。
「ジバシリ山に行くなら、日が暮れる前に帰ってこれる方が良いわ。往復する時間も考えて、後1時間ぐらいしたら出発した方が
いいんじゃないかしら。」
「そうですね。ちゃんとヒカリ達はそれまでにここに来るのかなあ…」
タケシは心配そうにつぶやいた。

  • スレ1-427
  • 秋に・・・⑤
  • 07/10/13 01:02:45
一方、その頃、ヒカリはタカヒロと特訓に励んでいた。
「よし、ポッチャマも良い感じになってきたよ。」
「本当!ありがとう。これで次のコンテストは優勝よ!」
(サトシ、今頃どうしてるのかな…)
ヒカリはふと、サトシの事を思い出した。
(いつもと様子が変だったな…特訓だったらサトシも一緒に来ると思ったのに…。なんかいつもと違ってたな…)
「ヒカリ!ねえ、ヒカリったら。」
ヒカリは考え事をしていて、タカヒロの呼びかけに気づいていなかったのだ。
「特訓するなら集中しないとダメだよ、ヒカリ。」
「ごめん、特訓続けようか!」
それから、ヒカリ達はその後も特訓を続けた。時間もだいぶたった頃、突然、ヒカリが叫んだ。
「ああ~~~~!!」
その場にいた全員がヒカリの声に驚いた。
「ど、どうしたの、ヒカリ?」
「紅葉見に行く事、忘れてた!サトシ達待たせてるのに!タカヒロ、今日は特訓付き合ってくれてありがとう!
タカヒロのおかげで次のコンテストは大丈夫!じゃあ、私、ポケモンセンターに行くから、これ以上待たせたら悪いし。」
ヒカリは立ち去ろうとした。と、タカヒロは呼び止めた。
「待って、ヒカリ。」
「何?タカヒロ、私急いでるんだから、特訓続けすぎたら山に登れなくなっちゃうかも…」
「この近くにも、ジバシリ山に登れるルートがあって、こういうルートを取れば、サトシ達と合流出来るよ。
ちょっと遅くなっちゃったし、ここで合流した方が早いんじゃないかな。」
「なるほど~、でもどうやってサトシ達に知らせるの?」
「オニドリルに頼もう、ヒカリが手紙を書けば、ポケモンセンターまで届けてくれるよ。出て来い、オニドリル!」
「すご~い、これがタカヒロのオニドリルなんだ。」
ヒカリは手紙を書いて、オニドリルにしっかりと持たせた。
「よろしくね。」
オニドリルは飛び立っていった。

  • スレ1-428
  • 秋に・・・⑥
  • 07/10/13 01:04:02
ポケモンセンターではサトシとタケシが、ヒカリを待ち続けていた、あれから1時間30分もたっていたのだ。
「ヒカリ遅いな~…。」とタケシ。
「紅葉が見たいって行ったくせに、いつまで特訓してるんだよ…」
サトシはイライラしながらつぶやいた。
そのとき、オニドリルがポケモンセンターに着いた。オニドリルは入り口につくとそこでじっと飛び続けた。
「あら、あのオニドリル、どうしたのかしら…。ポケモンセンターの前で飛んで…何か持ってるわ…。」
ジョーイが気づいて外に出た。オニドリルが持っている手紙に気づいて、それをサトシ達に手渡した。
その手紙はあのヒカリが書いた手紙で、別のルートから登って合流しようと言う事が書かれていた。
サトシのイライラはさらに増した。
「なんでタカヒロと一緒に、別ルートから行くのに、俺達が合流しなきゃならないんだよ!」
「まあ、こんな時間だからそっちの方が早いってヒカリは思ったんじゃ…」
「なら、早く特訓を切り上げればいいじゃないか!勝手な事ばっかりしやがって!!」
「まあまあ…、とにかくジバシリ山に行こう。」
タケシは不満爆発なサトシをなだめた。しかし、これだけの事でヒカリに対してサトシがこんなに怒るのも珍しい、とタケシは思った。
普段ならこんな事はないのに、何故、今日はこんな事で怒ったりするのだろうか。
タケシは不満そうなサトシをなだめて、ジョーイにジバシリ山に行く事を伝えた。
「気をつけて行って、日が暮れる前に戻って来てね、でもあなた達の仲間のヒカリさん達、大丈夫かしら…あの道に入らなければ良いけど…」
「あの道といいますと…」タケシが気になって聞いた。
「途中に分かれ道があるの。看板が立ってるから、間違えないとは思うけど…その道野生のポケモンが多いから入ったら危険なの。」
「そうですか…、まあ、ヒカリなら大丈夫だよな、サトシ?」
「もし入ったとしても、タカヒロがいるしな。」
それを聞いて、タケシは、まさか不機嫌の理由って…、と思ったが、あえて言わないでおいた。
こうして、サトシとタケシはジバシリ山に向かった。

  • スレ1-432
  • 秋に⑦
  • 07/10/14 01:18:09
ヒカリ達も、オニドリルが戻って来た後、すぐにジバシリ山を登りはじめた。
「サトシ達を待たせないためにも急がなきゃ、競争よ、ポッチャマ!」
「ポチャ!」
「待ってよ、ヒカリ!」
「タカヒロも急いで来てよ~!」
「ヒカリは元気だな~、そんなに急いでたら転んじゃうよ。」
「大丈夫、大丈夫!」
タカヒロはヒカリを追いかけた。ヒカリは思ったよりも足が速くて、追いかけるのも一苦労だった。
と、ヒカリは立ち止まった。ジョーイさんが言ってた分かれ道だった。
「どっちだろう…。」
タカヒロは地図を見た。その地図には分かれ道は書いてなかった。地図には看板に従って進みましょうと書いてあるだけだった。
「たぶんこっちよ、行こう!サトシ達を待たせられないから、急がなきゃ!」
「ちょっと、待ってよ、ヒカリ!山は野生ポケモンもいるから危ないから正しい道を進まないと!」
すぐ傍に、誰かが倒してしまったのだろうか、看板が倒れていた。その看板は、正しい道を教えるものだった。
その看板にはヒカリ達が進んだ道とは反対の道を進むように書かれていた…。
サトシ達はと言うと、一足先に合流地点についていた。
「よし、ついたみたいだぞ。ヒカリ達はまだ来てないないなあ…。」
タケシはあたりを見渡しながら言った。
「ヒカリのやつ、また待たせるつもりかよ…。」
「まあまあ、この道を行けば、途中でヒカリ達に会えるはずだ、行ってみないか?」
「え、なんで?」
「いや、ほらジョーイさんが分かれ道があるって言ってたじゃないか。もしかしたらヒカリ達
間違えるかもしれないだろ?」
「ヒカリは1人じゃないだろ。」
「サトシ…、でも、万一って事もあるじゃないか、サトシはヒカリの事が心配じゃないのか?
とにかく分かれ道まで行ってみよう。」
「…仕方ないなあ。」
タケシは、このままサトシがここで待ってもサトシがイライラするだけだと考え、何かした方が
気もまぎれるだろう、と思ったのだ

  • スレ1-433
  • 秋に・・・⑧
  • 07/10/14 01:19:46
そして、サトシ達はヒカリ達が歩いているだろうという道を進んだ。どこかでヒカリ達に会える
はずだ。しかし、ヒカリ達に会わないまま、分かれ道の地点まで来た。
「すぐに会えると思ったんだけどな~…」
とタケシ。と、ピカチュウが倒れている看板に気づいた。
「ピカピ、ピカ。」
「どうした、ピカチュウ?…この看板、なんだろう、地図が書いてある…」
「もしかして、それ、道案内の看板なんじゃ、ちょっと見せてみろ。」
タケシはサトシから看板を受け取って、見てみると、やはり、道案内の看板だった。
「看板が倒れてるって事は、ヒカリ達、反対の道に行ってしまったかもしれないぞ!」
「なんだって!」
その時、その道の方でポケモンが騒ぐ音がした。
「野生のポケモンが騒いでいる…サトシ、やっぱりヒカリ達は、反対の道に行ってしまった
のかもしれない…、サトシどうする?」
「どうするって、行くっきゃないだろ!」
サトシは今までイライラしてた事を忘れて走り出していた。そんな場合ではなかった。
(ヒカリ…無事でいろよ…!!)

ヒカリ達はその頃、デルビル達の群れに囲まれていた。
ヒカリはポッチャマで、タカヒロはカメールで応戦していた。
「ポッチャマ、バブル光線!」
「カメール、みずでっぽう!」
水は炎タイプの弱点だが、デルビル達の数は多く、ポッチャマもカメールも疲労していた。
「あの道間違ってたみたい、ごめんね、タカヒロ…」
「そんな話は後で良いよ、今はこのデルビル達に囲まれた状況を突破しなきゃ。」
「うん、でも、数が多い、大丈夫…じゃないかも。」
「でも、だいぶ数は減らして来た、カメール、みずでっぽう!」
「ポッチャマ、バブル光線!」
この攻撃で、デルビルの数はだいぶ減ったが、ポッチャマもカメールも疲労がたまっていた。
「よし、走ろう、ヒカリ!今のうちに引き返そう!」
「うん!」
ヒカリ達は走って来た道を戻りはじめた。何故かデルビル達は追ってこなかった。
「よし、追ってこないわね。」
「ポチャ、ポチャ!」
と、ポッチャマが突然叫んだ。

  • スレ1-434
  • 秋に・・・⑨
  • 07/10/14 01:22:17
「どうしたの、ポッチャマ?」
ポッチャマは近くを通り過ぎた気配を感じ取ったのだ。そして、ポッチャマが感じた
気配の持ち主がヒカリ達の前に現れた。
それはデルビル達と、ヘルガーだった。
「デルビル、ヘルガー、どうしてここに!」
「どうやらデルビル達はボスであるヘルガーを呼びに行ってたようだね。」
「どうしよう、ポッチャマ、こんなに疲れてるのに…。」
「でも、やるしかない!カメールみずでっぽう!」
「ポッチャマ、バブル光線!」
しかしその攻撃はヘルガーの火炎放射に押されてしまった。
「やっぱり疲労がたまってるんだわ…」
「く…、別のポケモンで…。」
タカヒロがモンスターボールから他のポケモンを出そうとモンスターボールを探っていた。
「きゃあ!!」
ヒカリの叫び声にタカヒロがはっとすると、まさにヘルガーがヒカリにとびかかろうとしていた。
「ヒカリ!!(ま、間に合わない!!!)」
その時…
「ピカチュウ、10万ボルト!!」

その声の主は、まぎれもなく、サトシの声だった
「サトシ!!」
ヒカリは嬉しそうに叫んだ。
「どうしてここに私達がいるって分かったの?!」
「話は後だ、とにかく、このヘルガーとデルビル達をなんとかしなきゃ。」
「サトシ、おそらくヘルガーはこのデルビル達のリーダーなんだ、リーダーを倒せば、群れは
バラバラになる。ヘルガーを倒すんだ。」
「分かった、ピカチュウ、もう1回10万ボルト!」
「ピカ!!」
ピカチュウの10万ボルトを受けてヘルガーは動かなくなった。ヘルガーが倒れた事で、デルビル
達はうろたえはじめた。
「よし、今のうちに引き返すんだ!」とタケシ。
「助かった…行こう、ヒカリ!」
「うん!!」
そのやり取りを見て、忘れていたイライラをサトシは思い出した。

  • スレ1-447
  • 秋に・・・⑩
  • 07/10/21 01:31:55
「はあはあ…」
「ここまで来れば大丈夫だろう、みんな、無事か?」とタケシ。
「なんとか…、でもどうして私達が道を間違えたって分かったの?」とヒカリ。
タケシはヒカリ達が来てないので、合流しようと思って先に進んだこと、ジョーイから危険な道を
教えてもらっていたこと、看板が倒れていた事などを話した。
その間にタケシは傷ついたポッチャマ達を手当てした。
「そうだったんだ…」とヒカリ。
「しかし、間に合ってよかった、よく無事でいられたな。」とタケシ。
「タカヒロのおかげ、私1人だったら本当にダメだったと思う、タカヒロありがとう。」
「あ、うん、でも、ヒカリを危ない目にあわせてごめん。僕がもっと下調べをしておくべきだった。」
「全然気にしてないよ、私も道分からなかったし…」
サトシはイライラしていた。自分だって、ヒカリを助けたのに…。いや、あそこで自分が助けなければ
ヒカリはどうなっていたか分からない。なのにタカヒロの相手ばかりしているヒカリが許せなかった。
(俺のことはどうでも良いのかよ・・・。)
耐え切れずに、サトシは不機嫌そうに言った。
「こんなところで、ゆっくりしてたら、紅葉見に行けなくなるぞ!それとも今日は見に行かないのか?」
「あ、いっけな~い、すっかり忘れてた。今から行っても大丈夫かな?!」
「大丈夫だよ、ぎりぎり日が暮れる前にはポケモンセンターに戻ってこれるよ」
タカヒロが言った。
「でも、ゆっくりは出来ないよね…、明日行った方がいいのかな…」とヒカリ。
「いや、今から行ったらちょうど、夕日で綺麗な紅葉が見れるから、行った方がいいよ。」
とタカヒロが言うので、紅葉を見に、一行はその場所に向かうことにした。

  • スレ1-448
  • 秋に・・・⑪
  • 07/10/21 01:32:55
タカヒロとヒカリはその場所の紅葉について話をしていた。
「ちょうど、良い時間に着くから期待して良いと思うよ。」
「へえ~、楽しみだなあ・・・ねえ、サトシ?」
「・・・ああ。」
「どうしたの、サトシ?そういえば、今日ずっと変だけど?」
ヒカリが心配そうに言った。タケシは言った。
「サトシは、ヒカリが道を間違えたって知ったとき、本当に心配してたんだぞ。」
「そうなの?心配かけてごめんね、サトシ。そして、助けてくれてありがとう!
あのときのサトシ、かっこよかったよ!」
「そうか?」
「本当、本当!サトシが助けに来てくれて嬉しかったよ。」
そんな会話をタカヒロは聞きながら、考え事をしているようだった。そして、集合場所に予定して
いたところについた。
「よし、この道を進むと、ジバシリ山のベストスポットに着くよ。」とタカヒロ。
「ありがとう、タカヒロ。」とヒカリ。
「じゃあ、僕はこれで。」
「タカヒロは紅葉見ないの?」
「うん。サトシ、今日は助けてくれてありがとう。君があのとき来なかったら、ヒカリはどうなって
たことか・・・。ヒカリを連れまわして危ない目にあわせてごめんな。」
「・・・なんでそのことで俺に謝るんだ?」
「なんでって…君・・・、(小声で)ヒカリのことが好きなんじゃないの?」
「そりゃ、仲間だからな。当たり前だろ。」
とあっさりとサトシは言った。これはかなり重度の鈍感らしいな・・・とタカヒロは思った。
タカヒロはタカヒロなりに気を遣ったつもりだったのに、なんだか馬鹿らしくなってきた。
でも、ヒカリとサトシが仲が良いということにタカヒロは気づいていた。ヒカリのことを
気になりかけていたけど、好きにならない方がよさそうだということに。
「ヒカリとこれからも仲良くな。」
「???」
「それじゃ、みんなさようなら。」
そう言って、タカヒロは去っていった。
「変なやつだったな、ピカチュウ。」
「ピカ・・・」
ただ、タカヒロがいなくなったことにサトシは内心ホッとしていた。


  • スレ1-449
  • 秋に・・・⑪
  • 07/10/21 01:34:27
そして、サトシ、ヒカリ、タケシの3人はしばらく歩いて、目的地についた。
「わ~、綺麗~!」
「本当だ~」
「ちょうど良い時間ってこのことだったんだな~」
夕日に紅葉が照らされて、美しく輝いているようだった。
「サトシ、向こうにいってみよう!」
「おい、待てよ、ヒカリ!!」
「あまり遠くに行くなよ~~、すぐ戻らないと日が暮れるからな~」
と遠ざかって行く2人に向かってタケシは叫んだ。
「本当に綺麗・・・ここに来て良かった、ねえサトシ?」
「そうだな。」
そう言ったサトシの声を聞いて、ヒカリは言った。
「良かった、いつものサトシに戻って。」
「え?」
「サトシ、なんだか今日不機嫌というか、いつもと違ってたからちょっと心配してたんだ。
でも、そんな心配必要なかったね。サトシはサトシだもんね。」
そう言ったヒカリの声を聞いて、サトシはちょっと悪いことをしたような気分になった。
「ごめんな、ヒカリ。俺、ヒカリがそんなこと考えてたなんて分からなくて。変な
心配かけちゃったな、ごめん。」
「いいの、いいの。全然気にしてないし、今日はサトシ助けてくれたから。」
「え?」
「あのとき、ヘルガーとデルビル達に襲われたとき、本当に、私ダメだと思ったの。
でも、そのとき、サトシが来てくれて…本当にありがとう。」
「助けるのは当たり前だろ。」
風が吹いて、紅葉がひらりひらりと舞い降りた。
「わ~、本当に綺麗~」
「そうだな。」
2人は少しの間紅葉に見とれた。
「あ、サトシ、肩に紅葉がついてるよ、ほら。」
と言って、ヒカリはサトシの肩についてる紅葉をとって見せた。
「本当だ、ってそういうヒカリの肩にもついてるぞ。」
と今度はサトシがヒカリの肩についてる紅葉をとった。
「ヒカリ~サトシ~、そろそろ帰らないと~日が暮れてしまうぞ~。」
タケシが叫ぶ声が聞こえた。
「分かった~」
「すぐ行く~」
サトシとヒカリは返事をした。

  • スレ1-450
  • 秋に・・⑫
  • 07/10/21 01:38:51
「今日はあまり紅葉見れなかったね。ちょっとがっかり。」
「そういえば、ジョーイさんのオススメルートも歩いてないな・・・」
「え、そんなのあるの?よし、決まりね!」
「決まりって?」
「明日も紅葉を見るの!」
「え~、明日は出発するんじゃないのか?」
「少しゆっくりしていっても大丈夫!」
「まあ、ゆっくりするのはいいかもな。タケシが待ってる、行こうぜ!」
「うん!」
サトシとヒカリは走ってタケシのもとに向かった。
「わっ・・・」
ヒカリはつまずきかけた。転ぶ・・・と思ったら、転ばなかった。サトシが腕をつかんで、支えたのだ。
「大丈夫か、ヒカリ?」
「うん、ありがとう・・・。」
サトシがヒカリの腕をつかんで支えながら、ヒカリは立つことが出来た。
「ほら、サトシもヒカリもはやくしろ~!ポケモンセンターに戻るぞ~!」
「分かってる~!」
「今から行くから~」
こうして秋のある、サトシとヒカリとタケシの1日が終わろうとしていた。
この秋の1日で、サトシとヒカリは、ちょっとだけまた絆を深めた、のかもしれない。

~END~

なんだか自分の思った以上に長くなりました。最後グダグダしてしま
いましたが、なんとか完結まで持っていくことが出来ました。
最後はほのぼのとしたサトヒカにしたかったので、このような終わり
にしました。