白雪姫
- スレ1-560
- 名無しさん@サトヒカ萌え
- 08/04/17 22:58:30
「白雪姫」
今日は良い天気である。
それは、別に今日が特別な日である訳でもなく、単に気持ちのよい風と
日差しがそう言えるような気がするからだ。
「タケシーーーっ・・・町はまだかぁ?俺、お腹がすいたよ。」
一人の少年が体格の良い青年に話しかける。そのタケシと呼ばれた青年は
「う~む・・・もう少ししたら、町に着いてもいいと思うんだがなあ・・?」
と少し傾げながら、タケシは疑問と不安が混じるような声をだす。
それが一向に気になった
少年と少女は同時に肩を降ろし
「お腹がすいたー!!」
とステレオでタケシを挟みながら叫ぶ。
「まあまあ・・・二人とも、もう少ししたらポケモンセンターだから・・」
とタケシは徐に頭を北西に向ける。
「おい!サトシ!ヒカリ!あったぞ!ポケモンセンターだ!」
とその声が号令の様に、少年少女は走り出した。
少年はサトシ、少女はヒカリ、こうして賑やかな二人はポケモンセンターで
食事をとっていた。ピカチュウも美味しそうにポケモンフーズを齧りついている。
タケシは・・・・無論、ポケモンセンターと言えばジョーイさんで、ジョーイさんに会えば
彼にとってそこは天国の様なものだ。だけどそれはホンの一瞬で
グレッグルのどくづきでシビレビレになり地獄行きなのがオチだが・・・・
そんな二人の食事しながらのやりとりはどこか近寄り難い雰囲気がある。
決して、重苦しい訳ではないが、不思議と割り込めないような、二人の世界を作っている雰囲気がある。
もっとも本人達はそんな気は全く無いのだが。
それを意を決して入り込む、人物の影があった。
- スレ1-561
- 名無しさん@サトヒカ萌え
- 08/04/17 23:00:15
白雪姫ー2
「ねえ?君達はポケモントレーナーだよね。」
割り込む人物に目を配るサトシとヒカリ
「私はカナエ この辺りの幼稚園で、先生やっているんだけど、
実は「幼稚園祭」で「白雪姫」をやってくれるトレーナーを探していたの。」
「へえ~素敵ですね。」
ヒカリは興味津々に聴いてくる。
「それで、俺たちにやって欲しいってことですか?」
とサトシは切り込んでくる。
「そう!貴方達なら仲良いし、きっと良い劇になるわ。」
カナエは笑顔で返事を返す。
「どうする?」
とサトシ
「やろうよ!なんだか面白そうだし、だいじょーぶ♪」
とヒカリ
そこへ、シビレビレの呪いから復活を遂げたタケシは間をすり抜けて
「貴方のような美しい人なら、どんな願いでも受け入れます。そう、貴方の美しさに!
さあ、いまから愛の語らいを是非是非ここのポケモンセンターで・・・・」
とタケシの暴走は再び、シビレビレの呪いが降りかかるのは言うまでもない。
翌日。
一向は幼稚園で「白雪姫」をすることになった。
「そうえいば、どんな話だっけ?」
とサトシは王子の格好でヒカリに聞く、
「えっと・・・・白雪姫が、悪いお母さんに襲われて、逃げて7人の小人たちに助けられて、
でもお母さんが魔女に扮して、呪いの林檎を白雪姫にあげちゃうの。」
ドレスに着替え、可愛らしく見違えたヒカリが話の筋書きを話す。
思わず見とれてしまうのだが、そこはグットこらえサトシは聞く
「そのあとはどうなるんだ?」
と続けて聞いてくる。
「えっと・・・・・・どうなるんだっけ?」
二人の白雪姫のお話での問答していると、
そこへ普段ならピカチュウを珍しいポケモンだと思い、長年追い続ける奴等が応える。
「どうなるんだっけの声を聴き」
「林檎を食べちゃうと話すのが世の情け」
「風よ!大地よ!大空よ!」
「白雪姫は死んでしまうのだけど!ムサシ!」
「だけど王子様がキスをして生き返るという話!コジロウ!」
「まあ、そんな話だっだニャ!」
「我ら無敵のロケット団!」
とその後、ソーナンスとマネネのあいづちがでて、彼らがその後の話を教える。
- スレ1-562
- 名無しさん@サトヒカ萌え
- 08/04/17 23:03:03
白雪姫-3
「ロケット団!!」
サトシ、ヒカリが声を揃え、彼らを呼ぶ。
そこへ一瞬見れば美形だがお人好しな顔立ちのコジロウが
「実はさ、ムサシが、「劇があるとこなら女優どこへでも行くわ!」って言い出してさ・・・。混ぜてやってくれないか?」
ニャースとコジロウがため息と共に愚痴を零す。
「まあ、そうゆうことなら・・・・」
サトシは納得したのか、彼らの参加を認めた。
とゆうより、ここで揉めると幼稚園の子ども達に申し訳ない。
それに、なによりドレスを着て喜ぶヒカリをみると中止にする訳には行かない。
ここは唾を飲み、しかめ面しながら、舞台に向かう。
今はムサシ扮する魔女が呪いの林檎を作り、ヒカリ扮する白雪姫
ピカチュウ、ポッチャマ、ナエトル、ミミロル、ヒコザル、パチリス、ブイゼルの7人の小人達が
子ども達の注目を浴びていた。
今のところ、なんも問題はない。
ヒカリは筋書きどうりに呪いのリンゴを食べ、死ぬシーンである。
ここでやっとサトシのシーンである。どこか、雰囲気があるサトシが妙にカッコいいなあ~と感じるヒカリ
王子と言うより勇者よね・・・・と思いつつ寝てるフリをしていた。
それは薄っすらと目を明けてサトシの演技を見ていた。
「ああ!こんなにも美しい姫が!なんて悲しい!
今、この呪縛から、私が解いてあげよう!」
以外と演技派なサトシに少し吃驚していたヒカリ
まあ、自分もノリノリでやっていたから人の事 言えないなあ・・・・と
納得しながら、今まで男の子を身近に感じるようになったのはごく最近だなあと
しみじみ思うヒカリであった。
- スレ1-563
- 名無しさん@サトヒカ萌え
- 08/04/17 23:03:49
白雪姫-4
確かに、沢山男友達もいたけど、皆意地悪ばかりされてたし、幼馴染のケンゴだって
ピカリとか呼んだり、私をしょっちゅうバカにしていたし、
そういう間柄が多かったから、自分も無意識に壁を作っていたことに気づいていた
しかし、サトシといると壁を作らず、なんだか自分で居られる心地よさがなんだか、不思議な気持ちで包んでゆくことは
自覚はしていなかったけど、それが一体、どうゆう気持ちかは理解していなかった。
そんな中 サトシが近づいてくると
以外と男前な顔がある。
「そういえば・・・・キスシーンがあることをスッカリ忘れていた!」
と心の中で叫んでいた。
- スレ1-564
- 名無しさん@サトヒカ萌え
- 08/04/17 23:05:47
白雪姫-5
一方、サトシの方もドキマキしていた
そりゃ・・・舞台だし、でも嘘みたいなキスはいけないだろうし・・・・
そういえば、カスミとかハルカとか一緒に旅をしていたけど、別にこうゆうこと一度も無かったし・・・
未知なる経験に緊張し、近づく度に心音が高鳴り、
手から変な汗が出てくる。
そこへ
「キース!キース!キース!キース!」の子ども達のコール
どう考えてもキスするしか方法は無い。
しかし、サトシとヒカリは緊張と心音が高鳴る。
戸惑いが隠せない二人は、どうにかならないか、無駄だと分かっても何度も考える。
「ピーカ!ピーカ!ピーカ!ピーカ!」
ピカチュウも早くやってよ・・・とキスコールに参加する。同時にポッチャマや他のポケモン達もキスコールに参加する。
あとはもう引けない、引き受けたからはやるしかない!そう決意し、サトシは体を寄せ、唇を寄せた
「・・・・・・・・ヒカリ、やるぞ・・・・・。」
意を決したサトシの小声に同意をしたヒカリ
どうやらヒカリも決心したようだ。
そうっと唇と唇が重なりそうになる瞬間に、爆音がする。
思わず、唇が思いっきり重なるような、重なり、なんだか艶っぽい音がした。
「オーホホホホッツ!」
とムサシの声。
「ピカチュピ!?」
とピカチュウが反応する。
ピカチュウや、ポケモン達が一斉に網に掛かるのをサトシとヒカリが反応する。
そうなると普段モードに直ぐに切り替わる。子ども達もコレは劇の一つと勘違いしているようで、
「ヤレー!」「やっつけろー!」の野次も聞こえてくる。
「ナエトル!はっぱカッター!」
ナエトルは網を切り刻み、仲間達を逃がす。
裏方にいたタケシは慌てて、ポケモン達を舞台の端っこによせる。
- スレ1-565
- 名無しさん@サトヒカ萌え
- 08/04/17 23:07:28
白雪姫‐5
「お前ら!!どうゆうつもりだ!」
サトシは怒りが混じる声でロケット団に怒鳴る。
「そりゃあ・・・・舞台に紛れ込み、ポケモン達を貰う算段よ!」
とムサシが悪の女王風に応える。こういう場でもやはり、
演技を混ぜるのだから、やはり自身で女優といっているのだから
あながち的外れでは無いことが分かる。
「ポッチャマ!バブルこうせん!」
「ピカチュウ!10まんボルト!」
サトシとヒカリのピカチュウとポッチャマの同時攻撃に吹っ飛ばされるロケット団。
「ああ、久しぶりの舞台。最高だったわ」
ムサシは嬉しそうに空を飛ぶ。別に比喩的な表現ではなく実際に飛んでいるのだ。
「まあ、これでいいのかなあ・・・・。」
コジロウは呟く
「いいのよ。恋っていいじゃない?、両思いって素敵じゃない。良い感じ」
「しかしワシラは・・・」
ニャースは冷静に現実を突き詰め
「やなぁかんじぃ~」「ソ~ナンス。」「マネ、マネネ」
星になっていく。最後にソーナンスの声もする。相変わらずな彼らであった。
ハプニングもあったが、舞台は何とか無事に終わり、
白いタキシードに身に纏ったサトシと綺麗なドレスを着たヒカリの記念写真も園長先生に撮って貰った二人。
その後、ポケモン達と触れ合うことになった子ども達も満足していた。
- スレ1-566
- 名無しさん@サトヒカ萌え
- 08/04/17 23:09:25
白雪姫‐7
園の子ども達と別れ、次の目的に向かう最中、
タケシはその写真を見ながら・・・
「なあ、二人ともなんだが、結婚式を挙げたみたいだぞ」
と茶化する。なんだか声も幸せそうな弾んだ声。
何時もなら二人で声を揃え
「ちーがーうー(ます!)!」と反論するのだが
今日はいつもと違う、両人とも顔を真っ赤にし、無言になる。
タケシはへえ・・・あながち、無いとは言い切れないのか・・・。
まあ、互いに友達と思っていたのが始めて異性として意識したってことかなあ・・・
ふふ・・・第一歩ってとこか、とほのぼのと二人を見守っていた。
これが二人の人生初のキスであり、唇を交わした初めての相手とも言える。
微妙な二人の関係がかなり近まった出来事であった。
この旅はまだまだ続く・・・・。
―終―