- スレ2-152
 
- あなたに贈る花束
 - 08/07/24 19:54:00
 
 「行っちまったな・・・シェイミ」 
 シェイミが飛び立った空を見上げながら、どこか淋しそうにサトシが言う。 
 「また会えるよ、大丈夫大丈夫!」 
 そんな彼を元気づけようとヒカリは精一杯の明るい声でいつもの口癖を口に出した。 
 「・・・・・・・・・」 
 サトシはそんなヒカリをキョトンとした顔で見ている。 
 「どうしたの・・・?」 
 「そうだな・・・ヒカリにそう言われると、そんな気もしてくるな」 
 「それって馬鹿にしてるの~? それとも褒めてるの~?」 
 ヒカリは頬を膨らましながら笑う。 
 「ありがとなヒカリ」 
 唐突にサトシがそう言った。 
 「う、うん・・・」 
 何だがよく分からないけど。とりあえず返事を返すヒカリ。 
 「・・・あたしのほうこそ、ありがとうサトシ」 
 少し恥ずかしいような、小さな声でヒカリが言った。 
 「はは・・・シェイミに影響されちゃったみたいだな」 
 「そうだね・・・」 
 違う・・・違うよ・・・ 
 本当にアナタに感謝しなきゃいけないのはあたし・・・ 
 あたしが今ここで笑ってられるのも、サトシのおかげ。 
 少しでも長く一緒にいたいから・・・ 
 少しでも長くサトシと笑いあっていたいから・・・ 
 「どうしたんだヒカリ? 黙りこんで?」 
 不思議に思ったサトシがヒカリの顔を覗き込んでくる。 
 「なんでもないっ!」 
 ヒカリは立ち上がると駆け出した。 
 「あ! 待てよヒカリ!」 
 サトシもヒカリの後を追いかけた。    
 
- スレ2-153
 
- あなたに贈る花束
 - 08/07/24 19:54:43
 
 翌日・・・ 
 「4つ・・・なんで4つなんだ? ママとアヤコさん、ムノーのおじさん達だから3つでいいんじゃないのか?」 
 グラシデアの花束を4つ持つヒカリにサトシは尋ねた。 
 「3つはママたちのだけど、もうひとつは・・・」 
 「・・・俺に?」 
 ヒカリが顔を真っ赤にしながら頷く。 
 「じゃ、じゃああたしタケシのとこ行ってるね! ママたちにこの花束贈ってもらうの手伝ってもらうから」 
 ヒカリは向こうへ走っていく。 
 「・・・ありがとな」 
 もうヒカリには聞こえないかもしれないけど、サトシは静かにそう呟いた。 
 「ん?」 
 そこでサトシは何か花束に挟まっているのに気づいた。 
 どうやら手紙のようだ。 
 その内容は・・・   
 「本当にいつもありがとうサトシ 
    追伸;これから先もずっとずっと宜しくね 
                  ヒカリ」 
 と、可愛らしいピンクの紙に書かれていた。   
 「当たり前だろ・・・」 
 サトシはそう言うと、空を見上げた・・・   
 いつも傍にいるからこそ、中々口には出せないけどちゃんと伝えよう 
 「ありがとう」 
 いつまでも君のそばで・・・