サトシとヒカリ それぞれの道
- スレ3-54
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/18 23:52:41
ここは深い森の中
次の目的地を目指す為、一緒に旅を続ける3人組
そして、いつものごとく彼らのポケモンを付け狙うロケット団
今日もまた妙なメカを使いピカチュウたちを捕まえるが、今回は何やらいつもと様子が違う
サトシ「待てーロケット団!」
ヒカリ「あたしたちのポケモンを返しなさーい」
コジロウ「甘いぞジャリンコ!返せと言って返す我らロケット団ではなーい」
ムサシ「このまま一気に引き上げるわよ!」
ニャース「それではバイニャラー」
いつもなら残りの手持ちのポケモンで何とかできるのだが、今回ばかりはそうもいかない
何せみんなでランチを食べている時に、みんないっぺんに捕らえられてしまったのだ
つまり今サトシたちの手元には、使えるポケモンが一匹もいない
サ「ピカチュウ、10万ボルトでその檻を破壊するんだ!」
ヒ「ポッチャマ、バブル光線!」
ピカチュウ「ピーカーチュー!!」
ポッチャマ「ポッチャマー!!」
しかしピカチュウたちを閉じ込めた檻はびくともしない
それどころか、技が中で暴発してポケモンたちがダメージを受けてしまった
- スレ3-56
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- 09/01/19 00:55:12
ニャ「ニャハハ無駄ニャ無駄ニャ、今回はいつもとはひと味もふた味も違うのニャ、その檻は全てのタイプの技に耐えられる様設計された特殊強化合金なのニャ」
コ「これを作る為に3人の1ヶ月分のバイト代全てつぎこんだんだからな、苦労したぜ」
タケシ「そうか、だからここ最近あいつらを見なかったのか」
ヒ「感心してる場合じゃないでしょ、このままじゃあたしたちのポケモンみんな盗られちゃうわよ!」
サ「くっそー、どうすればいいんだ!」
するとその時、
「ニャルマー、電撃波!カラナクシ、水の波動!」
ニャルマー「ニャールー!」
カラナクシ「ナークー!」
ニャルマーとカラナクシが、勢いよく技を繰り出した
それぞれの技が互いに作用して強力になり、檻に命中する
ニャー「ニャニャニャ、まずいのニャ」
ム「なに、どうしたのニャース?」ニャー「この檻は、あくまで捕まえてからのことを想定して作ったから、中からの攻撃は大丈夫でも外からの攻撃は点で駄目なのニャ」
ム「それって……」
コ「ひょっとして……」
ニャー「ひょっとするニャ」
ドカーン!!
檻もろともロケット団の乗ったメカが勢いよく爆発した
ム・コ・ニャー「やなかんじ~」
キラ~ン
こうしていつものごとく、彼らは星になった
- スレ3-58
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- 09/01/19 11:53:45
ピカチュウたちを助けたのは、ノゾミだった
幸いピカチュウたちも大した怪我はなく、みんな無事だった
ヒ「ありがとうノゾミ、でもどうしてここに?」
ノゾミ「この近くでコンテストの練習してたんだよ、そしたらアンタたちが大声で叫ぶのが聞こえて急いで来てみたってわけ」
サ「サンキューノゾミ、おかげで助かったぜ」
ノ「それにしてもアンタたち、いつもあの変な奴らにああやって絡まれたんの?」
ヒ「そうなのよ、おかげであたしたちは落ち着いてコンテストの練習もできないのよ」
サ「!」
タ「さて、日も傾いてきたし今日はここら辺で野宿しよう、ノゾミも一緒に夕飯どうだ?」
ノ「いいのかい?」
タ「もちろん、それに助けてくれたお礼もしたいし」
ノ「それじゃお言葉に甘えてご馳走になるとするかな」
タ「ああ、是非そうしてくれ」
ヒ「それじゃあノゾミ、ご飯ができるまでコンテストの練習付き合ってよ」
ノ「ああ、いいよ」
ヒ「サトシも一緒にどう?」
サ「……え?」
ヒ「もう、あたしの話聞いてた?一緒に練習しない?って」
サ「いや、オレは今はいいや」
ヒ「そ?じゃあ行こ、ノゾミ」
サ「………」
サトシは黙って、ふたりの背中を見つめていた
- スレ3-59
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/19 20:06:49
日がちょうど沈んだ頃、タケシが作っていた夕飯も出来上がり、みんなでテーブルを囲んで食べた
タ「それでどうなんだヒカリ、コンテストの練習は」
ヒ「うん、新しいコンビネーションも出来上がってきていい感じ、ノゾミが手伝ってくれたおかげね」
ノ「コンビネーションも大事だけど、一番大切なこと忘れちゃダメだよ」
ヒ「ダイジョーブ、主役はあくまでポケモン、でしょ」
ノ「そういうこと、ところでサトシは次のジム戦はどこでやるの?」
サ「…………」
ヒ「サトシ?」
サ「……え?」
ヒ「もうー、サトシさっきから様子変だよ、もしかしてピカチュウたちに何かあった?」
サ「そんなことないよ、オレはいつも通りだし、ピカチュウもみんなもピンピンしてるぜ」
ヒ「そう?ならいいけど……」
それからみんなで談笑してひと段落つくと、
ノ「さてと、あたしはそろそろ休むとするかな。タケシ、夕飯ごちそうさま」
タ「こんなんで良かったら、またいつでも」
ノ「ヒカリ、次はコンテスト会場で会おう」
ヒ「うん、ノゾミも練習頑張ってね」
ノ「サトシも次のジム戦頑張んなよ」
サ「……あ、あぁまかせとけって……」
ノ「……?」
ノゾミはサトシの態度に何か釈然としないものを感じながらも、一行と別れ自分のテントに戻っていった
サトシたちもテントを張って自分たちの寝床の準備をしていた
ヒカリが自分の寝床を用意していると、サトシがきた
サ「ヒカリ、ちょっと話があるんだけどいいかな?」
ヒ「え?うん、別にいいけど」
サトシたちは星がよく見える丘に移動した
ヒ「で、サトシ。話って何?」
サトシは躊躇いながらも、こう口にした
サ「ヒカリ、オレたち別々に旅をしないか?」
ヒ「……は?」
ヒカリはサトシが何を言っているのか、すぐに理解出来なかった
- スレ3-63
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- 09/01/20 00:09:22
ヒ「え……?それってどういう…」
サ「言葉通りだよ、オレたちこれからは別れて旅をしよう」
ヒ「どうしたの…?急に……」
サ「どうしたもこうしたもオレ、ヒカリと一緒に旅するの疲れたんだ」
ヒ「!!」
サ「ヒカリのコンテストの為にわざわざジムのない街に寄ってさ、やっぱりオレそんなことより早くジム戦してバッジ集めたいんだ。ヒカリだってそうだろ?無理してオレのジム戦に付き合ってくれることないんだよ」
ヒ「あたしはそんな…無理してなんか……」
サ「それにさ、やっぱりトレーナーとコーディネーターじゃ話もかみ合わないし、一緒にいてもつまんないだろ」
ヒ「そんなことないじゃない、現に今まであたしたち仲良く旅を続けてきたわけだし…」
サ「そんなのオレがヒカリに合わせてやってたからに決まってるだろ」
ヒカリはハッとした
自分は今までサトシに無理して合わせてもらってたのか
サ「だからさヒカリ、オレたちここで別れよう」
ヒカリの眼には、いつの間にか涙がにじみ出ていた
ヒ「サトシ…本気なの……?」
サトシはそんなヒカリに一瞬目をそらしたくなったが、それでもここで言わなきゃヒカリはずっと自分たちに付いてくると思い、心を鬼にして言った
サ「ああ、本気だ…」
ヒカリはその場に居るのが耐えきれず、独りどこかへ駆け出していってしまった
それをサトシはもう目で追うことしかできない
サ「ごめんな、ヒカリ……」
- スレ3-65
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/20 18:00:22
タ「本当にこれでいいのか、あんな心にもないこと言って。ヒカリ泣いてたぞ」
いつの間にか後ろにタケシが立っていた
サ「…仕方ないよ、こうするしかないんだから」
タ「ロケット団が原因か?」
サ「…あいつらは元々、オレのピカチュウを狙って追ってきてるんだ。だから、オレたちと一緒にいたら、ヒカリやポッチャマたちにまで迷惑がかかっちゃうだろ。だから、これで良かったんだよ…」
果たして本当にそうだろうか…
タケシはどうも納得できなかった
だけどサトシがそういうのなら、自分はもう何も言えない
タ「だけど、それならオレはどうなるんだ?」
サ「タケシがいなくなったら、誰がオレのご飯を作るんだよ?」
タ「…お前は一体オレを何だと思ってるんだ…?」
サ「ハハハ、冗談だよ冗談。タケシももしアレだったら、ヒカリたちと一緒に行ってもいいんだぜ?」
タ「オレたちどのくらいの付き合いだと思ってるんだよ、サトシが旅を終えるまでずっと付き合うよ」
サ「…サンキュー、タケシ」
やっぱりタケシがいると心強い
一方、ヒカリはノゾミの下へ行っていた
- スレ3-68
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/21 01:06:47
ノ「へぇ…サトシがそんなことを…」
ヒ「…うっ…うっ…ひっく……」
ヒカリは泣きじゃくりながら、ノゾミにサトシから言われたことの一部始終を話した
しかしノゾミも何か引っかかるものを感じた
タケシほどではないが、ノゾミも今までふたりの仲をそれなりに見てきたつもりだ
あんなに仲良さそうにしてたのに、急にめんどくさくなったとかいうことがあるのだろうか?
もしかして、さっきサトシの様子がおかしかったのは、このことに関係があるのかも…
するとノゾミは立ち上がって言った
ノ「あたし、サトシと話してくるよ」
ヒ「やめて!」
ヒカリがノゾミの腕を掴んで止めた
ヒ「もういいよ…サトシの言ってることも尤もだし……。きっと今まであたしがサトシに頼り過ぎてたから、サトシが嫌になったんだよ……」
ノ「ヒカリ…」
ヒカリが止める以上、ノゾミも何もできない
(今のふたりには時間が必要なのかもね)
ノ「…それで?ヒカリはこれからどうするの?」
ヒ「それなんだけどね…ノゾミと一緒に旅しちゃダメかな…?」
ノ「あたしと?でもあたしたちライバルでしょ?」
ヒ「うん…でも今のあたしには、とてもじゃないけど一人旅する自信なんてないんだ……。だからずっととは言わないから、暫くノゾミと一緒に旅させて…?迷惑かけないようにするから……」
ノ「ヒカリがそれでいいなら、あたしは別に構わないけど…」
ヒ「ありがと……」
そして次の日
ノ「本当にサトシたちには、何も言っていかなくていいの?」
ヒ「…うん……」
ノ「そう…じゃあ出発しようか」
結局ヒカリはサトシに別れの挨拶をすることもなく、ノゾミと旅立った
- スレ3-69
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/21 17:25:50
サトシとヒカリが別れて旅立ってから、数日が経った
だがサトシもヒカリも、調子はあまり芳しくなかった
サトシはというと、他のトレーナーに勝負を挑まれて負けることが多くなった
勝っても何かスッキリしない
ヒカリの方もコンテストの練習にあまり集中できず、ノゾミから注意されることが度々あった
しかしそれは、必ずしもふたりだけに言えることではなかった
彼らのポケモンもお互いとても仲が良かったので、お互いがいなくなってからはみんな元気がない
中でも一番重症なのは、ヒカリのミミロルだ
大好きなピカチュウと離れたことで、ヒカリの言うことを全く聞かなくなり、うつ状態に陥っていた
そんなある日の昼下がり、
サ「さてと、それじゃあ次のジム戦に向けて特訓だ。ヒカリ、相手してくれ」
タ「…ヒカリはもういないぞ」
サ「あぁ…そうだった……、それじゃあタケシ、練習相手頼む」
タ「悪いがオレは今から食料の調達に行かなきゃならん、ウソッキーたちを置いていくから好きに使ってくれ」
サ「あぁ、サンキュー」
だが練習をしてみても、いまいちピンとこない
決してタケシのポケモンとでは練習にならないわけではないのだが、いつもヒカリと一緒に練習してたせいか、どうもしっくりこない
サ「そういえばヒカリのコンテスト技は、色々参考にさせてもらってたからな……」
ピ「ピカピカ……」
サトシは、ヒカリがいなくなった穴が思っていた以上に大きかったことを、今更ながら痛感していた
そしてそれは、ヒカリも同じだった
- スレ3-72
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/21 23:31:41
ノ「ヒカリ、またボーっとしてるよ!」
ヒ「…え?あ、あぁ…ごめん…」
一方ヒカリとノゾミは、道端の程よいスペースで次に出るコンテストの練習をしていた
ヒ「ポッチャマ、バブルこうせん」
ポ「ポチャ、ポッチャマー」
ヒカリはポッチャマのバブルこうせんの新しいコンビネーションをやってみせた
ヒ「……どうかな?」
ノ「うーん、技自体はそんな悪くないんだけどね…。ポッチャマが全然楽しそうじゃない」
あぁ、やっぱりか……
薄々感づいてはいたけど、ポッチャマたちもピカチュウたちがいなくて寂しいんだ…
ノ「それじゃあポッチャマはとりあえずよしとして、次はミミロル……はダメで、エテボースでやってみせてよ」
しかし、エテボースも全く上の空でヒカリの指示なんか聞こえていない
(そういえば、エテボースはサトシのこと大好きだったんだよね…)
結局練習は途中で切り上げることになった
ヒ「ごめんね、ノゾミ……」
ノ「ポケモンたちがあんな調子じゃ仕方ないよ。でもいつまでもこのままでいるわけにはいかないよ、早く気持ちを切り替えないと。その為にはまず、トレーナーのあんたがしっかりしないと」
ヒ「うん…、頭じゃ分かってるんだけどね……」
ノ「まだサトシとのこと引きずってるの?」
ヒ「………」
ヒカリは何も答えられなかった
- スレ3-73
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/22 19:22:22
それからさらに数日後
ヒカリたちは街と街の間にある小さな森を抜けていた
ノ「ヒカリは次のコンテストどうするの?」
ヒ「………」
ノゾミはまたかと思った
ノ「ヒカリ!」
ヒ「…え、なに?」
ノ「あんたやっぱりもう一度サトシとちゃんと話し合った方がいいんじゃないの?」
ヒ「もういいよ、あんなやつのことなんか」
ヒカリは半ばやけになっていた
ヒ「…それで?」
ノ「…次のコンテストどうするのかって訊いたんだけど」
ヒ「あぁ…コンテストか…、ノゾミはどうするの?」
ノ「次の街で丁度三日後にコンテストが開かれるんだ、それに出ようと思ってるんだけど」
ヒ「…じゃあ、あたしもそうしよっかな…」
するとその時、茂みの向こうから何やら声が聞こえてきた
サ「なぁタケシー、本当にこっちで合ってるのか?」
タ「ああ、ここを抜ければ大きい道に出る筈だ…、ほら抜けたぞ」
ヒ・ノ「!」
サ・タ「!」
- スレ3-76
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/22 23:45:41
4人の間に一瞬不穏な空気が流れる
タ「ふ、ふたりともこんな所でどうしたんだ?」
ノ「あ、あたしたちはこの近くの街でポケモンコンテストが開かれるからそこを目指してたんだ。ね、ヒカリ」
ヒ「………」
だがヒカリは一切口を聞こうとしない
タ「そ、そうか。ふたりとも頑張れよ」
ノ「あ、ああ」
この空気に堪えきれなくなったサトシが口を開いた
サ「ほら、タケシ!そろそろ行こうぜ」
タ「でも日も暮れてきたし今日はここら辺で野宿しよう。この森に生息する野生のポケモンは凶暴だって話だし、暗くなって下手に動くと危険だ」
ノ「それじゃあ、あたしたちも今日はこの辺にテントを張ろうか」
ヒ「…いいけど、もうちょっと向こうに行こう……」
ヒカリは横目でちらちらサトシを見ながら言った
ノゾミはやれやれと思いながら、「じゃあね、ふたりとも」と挨拶をした
タ「ああ、またな」
それから夕飯を食べてると、タケシが困ったように声を出した
タ「うーん、参ったなー…」
サ「タケシどうした?」
- スレ3-77
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/23 00:48:06
タ「シチューがこんなに余っちゃったんだ、3人から1人減るだけでこんなに違うんだな」
サ「…オレまだ食えるぜ?」
タ「いや、さすがにこれ全部は無理だろ」
そういって指差された鍋には、まだシチューが沢山残っていた
タ「そうだ!ヒカリたちにおすそ分けしよう。ちょうどポケモンフーズも沢山余ってることだし」
サ「…ああ、いいんじゃないか?」
タ「それじゃあサトシ、ちょっと行ってヒカリたちに渡してきてくれ」
サ「!な、なんでオレが…」
タ「ハハハハ、冗談だ冗談。オレが行ってくる」
サ「…ったく、タケシのやつ…」
しかしよく考えてみればご飯を多く作りすぎたなんて、普段から作り慣れているタケシにしては珍しいことだった
だが鈍感なサトシは、そんなこと気付きもしない
一方ヒカリとノゾミのテント
タ「おーい、ノゾミー、ヒカリー」
ノ「タケシ!どうかしたの?」
タ「いやー、シチューを多く作りすぎちゃってさー。良かったら食べないか?」
ノ「お、ありがとう」
タ「それとヒカリ、ポッチャマたちのポケモンフーズ持ってかなかったろ?ほら」
ヒ「あ…ありがとう……」
するとノゾミは何か感づいたのか、
ノ「そうだ、あたしちょっくらその辺散歩してくるよ」
ヒ「え!?それじゃあ、あたしも…」
ノ「ヒカリはここでタケシと話してなよ、あたしは1人でのんびりしてくるからさ」
タ「そうだな、なるべく『ゆっくり』してくるといいよ」
ノ「ああ」
そう言ってノゾミは、タケシとヒカリのふたりを残しどこかへ行ってしまった
ヒ「いいの?この辺って凶暴な野生のポケモンがいるんでしょ?」
タ「大丈夫大丈夫」
タケシは笑いながら言った
実は凶暴な野生のポケモンというのはタケシがついた嘘だったのだ
- スレ3-81
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/24 01:20:51
タケシとヒカリは二人きりになった
ヒ「……」
タ「そう身構えるなって。何もオレはサトシの味方ってわけじゃないぞ」
ヒ「え?そうなの!?」
タ「ああ」
ヒ「…でもタケシはまだ、サトシと一緒に旅してるじゃない」
タ「ヒカリも本当はオレたち…いや、サトシと一緒に旅したいんじゃないのか?」
ヒ「だ、誰があんなジム戦のことしか考えてないようなバトルバカなんかと…」
タ「ヒカリ、目が泳いでるぞ」
ヒ「!」
するとタケシはもう一度、「どうなんだ」と訊いた
ヒ「…だって、サトシがあたしのコンテストめんどくさいって言うんだもん。しょうがないよ」
タ「サトシが本気でそう言ってると思うか?」
ヒ「え…?」
タ「サトシが一度でも、ヒカリのコンテストをめんどくさそうに応援してたことがあったか?」
ヒ「!!」
そういえばそうだ…
サトシはいつも自分のコンテストになると、一生懸命応援してくれた
勝った時は自分のことのように喜んでくれたし、負けた時は一緒に落ち込んで励ましてくれた
ヒ「…だけどサトシは、あたしに無理して合わせてるって…」
タ「サトシがあんなに上手くヒカリに合わせられる程、器用な奴だと思うか?」
ヒ「!!」
そうだ…
良くも悪くも、サトシはいつも自分の言いたいことをハッキリ言って、あたしにぶつかってきてくれた
そんな彼の言動が、ヒカリにはとてもスッキリして気持ちよく感じられた
だからヒカリも、サトシに何の気兼ねもなく本音をぶつけられた
こんな単純なことに気付かなかったなんて…
タ「今からでも遅くないぞ」
ヒ「…ごめんタケシ!あたしちょっと、サトシのとこに行ってくるね!」
タ「ああ」
そう言ってヒカリは、森の奥へと駆け出していった
- スレ3-84
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/25 00:51:17
サトシが独り考え事をしていると、茂みの向こうからノゾミがやってきた
ノ「よっ」
サ「ノゾミ」
ノ「隣いいかい?」
サ「…ああ」
そう言ってノゾミはサトシの横に腰掛けた
ノ「何でヒカリにあんなこと言ったの?言っとくけど、あたしには嘘は通じないよ。正直に話しな」
サ「!」
サトシは内心、ノゾミには適わないな、と思った
サトシは観念して、タケシに話したことと同じことをノゾミに話した
サ「だからヒカリには余計な心配しないで、コンテストのことだけに集中してほしいんだ」
ノ「…本当にそうかな?サトシさあ、あんたたちがブイゼルとエイパムを交換した日のこと覚えてる?」
サ「ああ」
ノ「あの時、あの変な奴らにあたしのニャルマーとタケシのウソッキーが捕まって、あんたたちふたりで力を合わせて助けてくれたじゃない。
それに限らず今までもいろんなことを、ふたり一緒に乗り越えてきたんでしょ、ジム戦もコンテストも他にもいろんなことをさ。
だからさ、それでいいんじゃない?何よりあの娘があんたと一緒にいたがってるんだから」
サ「ヒカリがそう言ったのか?」
ノ「見てれば分かるよ、やっぱりあの娘は一緒に旅をするなら、あたしよりあんたたちの方が全然いい。何よりあの娘、サトシと一緒にいたりサトシの話をあたしにする時、本当に楽しそうなんだよ」
サ「それはオレもヒカリと一緒にいると楽しいけどさ…」
ノ「だったらそれでいいじゃない。お互いがお互いを求め合ってる。
一緒にいるのにそれ以上の理由なんてないよ。だから自分の気持ちに素直になってさ」
サ「…そうだな。サンキュー、ノゾミ」
ノゾミはニッコリ笑った
- スレ3-85
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/25 18:28:40
サ「だけどノゾミはそれでいいのか?」
ノ「何が?」
サ「ノゾミだってヒカリと一緒に旅したいんじゃないのか?」
ノ「あたしは別に本から一人旅だったからさ、それにあの娘何故かあたしには変に気を使ってくるんだよね。まあサトシとのことがあった後だったからかもしれないけどさ」
サ「ノゾミに?オレの時はヒカリのやつ全然そんな素振り見せないぜ?」
ノ「それは相手がサトシだからでしょ。やっぱりあんたたちはそれだけ馬が合うんだよ」
サ「そうかな…」
ノ「そうだよ、なかなかいないよ、自分の本音をそのままぶつけられる相手っていうのは。だからあんたたちは、もっとお互いのこと大切にしなよ」
サ「…ああ」
一方、ヒカリはそんなふたりの会話を茂みの影からそっと聞いていた
するとそこにもの凄い爆音が鳴り、大きなマジックハンドがサトシの肩に乗っていたピカチュウを勢いよく奪い去った
サ「ピカチュウ!!」
- スレ3-86
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/25 18:55:57
そこにはいつものニャース気球に乗った、ロケット団の姿があった
ピカチュウはそのまま、耐電性のあるケースに放り込まれた
ム「ピカチュウ、ゲットでちゅう」
サ「ロケット団!」
ノ「またあんたたちか、毎度毎度しつこいねー」
ム「またあんたたちか、の声を聞き…」
コ「光の速さでやってきた…」
ニャ「今はそんニャことやってる場合じゃニャいニャ!ピカチュウもゲットしたことだし、今日はこのままさっさと撤収ニャ」
そのままロケット団はスピードを上げて逃げ去っていく
サ「させるか!ムクバード、きみに決めた!」
「ムクバー!」
サ「ムクバード、ロケット団からピカチュウを取り返すんだ!」
コ「させるか!マスキッパ、たねマシンガン!」
ム「メガヤンマ、ソニックブーム!」
「キパー!」
「ヤンヤーン!」
そのまま、メガヤンマとマスキッパの攻撃がムクバードにクリーンヒットした
「クバー!」
サ「ムクバード!」
ニャ「ニャーハッハッハ、今回のニャーたちはいつもとはひと味違うのニャ」
コ「それじゃさよならさーん」
サ「しまった!」
するとその時、
ヒ「ミミロル、れいとうビーム!」
「ミンミー!!」
- スレ3-89
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/25 23:52:07
ミミロルのれいとうビームは、見事気球の風船部分に直撃し、気球はそのまま地上に落下した
サ「ヒカリ!何でここに…」
ヒ「そんなことより、今は早くピカチュウを!」
サ「!そうだった、ピカチュウ!」
サトシはすぐさまピカチュウのもとに駆け寄り、ケースから出してやった
サ「大丈夫か、ピカチュウ!」
ピ「ピカチュウ!」
ム「おのれよくも~…メガヤンマ、やっちゃいなさい!」
コ「マスキッパ、お前もだ!」
サ「一気にお返しだ!ピカチュウ、10まんボルト!」
ヒ「ポッチャマ、バブルこうせん!」
「ピカチュー!!」
「ポッチャマー!!」
2匹の技が組み合わさり、勢いよくロケット団のもとに向かってゆく
ドカーン!!
ム・コ・ニャ「嫌な感じ~」
サ「やったぜ!……あ」
サトシがヒカリのことを振り向いてみると、ヒカリも笑っていた
サ「ありがとう、ヒカリ。助けてくれて」
ヒ「そんなの当たり前でしょ!…それよりあたしね、サトシに言いたいことがあるの」
サ「オレに言いたいこと?」
ヒ「うん、あたしもう一度サトシと旅がしたい。サトシとじゃなきゃダメなの」
サ「いいのか?本当に」
ヒ「うん。あたしね、サトシと離れて初めて分かったの。あたしにとってサトシがどんなに大きい存在だったか」
サ「…オレも、もう一度ヒカリと旅がしたい。あんなこと言っといてなんだけど…」
ヒ「もういいよ、サトシの本当の気持ちはよく分かったから。だからさ、またこれからふたりで頑張ろ!」
サ「ああ!」
ノ「ちょっとあんたたち、いい雰囲気のところ悪いけど、タケシのこと忘れてない?」
サ・ヒ「……あ」
ノ「ちょっと、そりゃタケシがかわいそうでしょ」
「あはははは」
「ピカチュウ!」
「ポチャポーチャ!」
「ミンミー」
- スレ3-91
- サトシとヒカリ それぞれの道
- 09/01/26 23:27:39
翌朝
ヒ「ノゾミ、いろいろ心配かけてごめんね」
サ「ノゾミ、本当にありがとな!」
ノ「別にいいよ。ま、あたしはどうせこうなると思ってたけどね」
タ「オレも!」
サ・ヒ「?」
ノ「じゃ、あたしはそろそろ行くよ」
サ「ああ、またな」
ヒ「次はコンテスト会場で会いましょ」
ノ「ああ、それじゃあね」
そう言ってノゾミは出発していった
タ「さてと、それじゃあオレたちもそろそろ行くとしようか」
サ「そうだな」
「ピカチュウ!」
サ「ピカチュウはまた、ポッチャマたちと旅ができるからうれしそうだな」
「ピッカー!」
ヒ「それはポッチャマたちも同じよね。ミミロルなんか、今まであたしの指示全然聞いてくれなかったんだから」
「ポチャー!」
「ミミー!」
すると、ミミロルはピカチュウのもとへすり寄って来た
今回ばかりはピカチュウもとてもうれしそうだ
サ「さてと、次のジム戦も絶対バッジゲットだぜ!」
ヒ「あたしも次のコンテスト、絶対リボンゲットするわよ!」
タ「ふたりとも頑張れよ!」
サ「ああ!」
ヒ「もちろん!あ、サトシ」
サ「何だ?ヒカリ」
ヒ「その…これからもよろしくね!」
サ「ああ、こっちこそよろしくな!」
こうして無事仲直りして、更にお互い絆を深めあったサトシとヒカリたちの旅はまだまだ続く