タケシ母ちゃん

  • スレ3-194
  • タケシ母ちゃん
  • 09/03/05 21:45:46
投稿します。
アケビ大会とユキメノコの回の間ってことで


ここはシンオウ地方北部。
先日ヒカリはポケモンコンテストアケビ大会で優勝をした。
そして今は・・・

「タケシぃ~、まだ次の街に着かないの~?」
「うーむ・・・。そろそろ街に着いてもいいころなのになあ・・・」
「まさか・・・道に迷ったのか!?オレ達・・・」
「残念ながら、そういうことになるな。すまない・・・」
「うぇ~~!?」
ヒカリが声を上げる。
「まあ、しょうがないか。こんな山の中だもんなあ・・・」
そう、今は山の中。
なのに、やけに落ち着いているサトシにヒカリは
「サトシはなんでそんな平気な顔してるのよ~。道に迷っちゃってるのに~!」
「道に迷うなんてよくあることさ。そんなにあわてるなよヒカリ」
「あわてますぅ~!それに、なんか寒くなってきたじゃない?
だから私は早くポケモンセンターに行って温まりたいの!」
「そう言われてみれば寒くなってきたな。・・・これから先はさらに寒くなってくるだろう。
街に着いたら防寒具を探しとかないとな」
ヒカリの言葉を聞きタケシはそんなことを言っている。

  • スレ3-195
  • タケシ母ちゃん
  • 09/03/05 21:49:21
「ヒカリがそんな寒そうな格好してるからいけないんだろ~。
・・・ほら、オレの手袋してろよ」
と、サトシは自分の手袋をはずし、ヒカリに渡す。
「え・・・」
確かに寒いのだが、それではサトシに悪いと思ったヒカリ。
「そ、それじゃあサトシが・・・」
「気にすんなって!防寒用じゃないけどさ、手、何もしてないよりましだろ?」
「でもっ・・・」
どうしても拒むヒカリに、
「わかった・・・じゃあ、片方だけでいいからしろよ」
と言うサトシ。
「かたっぽ?」
ヒカリはとりあえず左手にサトシの手袋をはめる。一方サトシは右手だけにしている。
すると、サトシは左手でヒカリの右手を握った。
「!!!」
サトシがいきなり手をつないで来たことに驚くヒカリ。
「これなら二人とも両手があったかいぜ!これなら文句ないだろヒカリ?」
「///う、うん・・・」
要するにヒカリは二人とも平等でなければいやだったのだ。
「・・・でも私の手冷たいでしょ?無理してつながなくてもいいよ・・・?」
そんなことを言うヒカリに、サトシはやさしい声で、
「無理なんかしてるわけないだろ?」
そして握っている手に少し力を込める。
「むしろ冷たいからこうしてあっためてやってるんだって!」
「///・・・ありがと・・・」
ヒカリは赤くなり礼を言う。

  • スレ3-196
  • タケシ母ちゃん
  • 09/03/05 21:51:04
「・・・やっぱりサトシはやさしいね。ポケモンにも、人にも・・・」
「友達ならやさしくするのは当然だろ?それにオレにとってポケモンはみんな友達だからな!」
(そっか・・・。サトシはポケモンであるか人であるかの前に、友達であるかを優先してるんだ・・・。
だからポケモンにはだれにでもやさしいのね・・・)
そしてヒカリはひとつ疑問をぶつけてみる。
「じゃあ・・・、サトシは、友達だから私にやさしくしてくれてるの?」
「ん?ああ、そうだけど?」
(・・・そっか・・・)
すこし表情を曇らせるヒカリ。
「じゃあ友達だったら誰とでもこうして手をつなぐの・・・?」
「えっ?・・・そうだなあ・・・。誰とでも・・・は、どうだろうな~?」
ヒカリの質問に頭をひねらせるサトシ。
「う~ん・・・普通の友達だったらしないかもな~」
「・・・てことは私はサトシにとって普通の友達・・・じゃないの?」
少し控えめに質問してみる。
「う~ん・・・ヒカリはなんていうかさ・・・、なんていうんだろ・・・?」
サトシはヒカリの顔を見つめる。
「///な、何よ?」

  • スレ3-197
  • タケシ母ちゃん
  • 09/03/05 21:56:23
ヒカリを見つめながら必死に答えを考えるサトシ。
「そうだな・・・。ヒカリは友達だけど、かけがえのない・・・、
友達以上の存在・・・って感じかな?」
「/////へっ!!???」
顔を赤くするヒカリ。
さらにサトシはとんでもない発言をする。
「よくわかんないけどさ、オレ、
ピカチュウと同じくらいたぶんヒカリのことが好きなんだよ!」
「!!!」
サトシの言葉に衝撃を受けたヒカリ。
(ピカチュウはサトシにとって一番大切なポケモン・・・)
(その・・・ピカチュウと同じくらい・・・?)
(・・・私が・・・好き・・・?)
若干放心状態のヒカリにサトシは続ける。
「だってさ、ピカチュウもヒカリも、オレ、一緒にいるだけで楽しいんだ」
「それに、オレのために戦ってくれるピカチュウ。オレのために応援してくれるヒカリ・・・」
「二人がいたからオレは今ここにいるようなもんだぜ・・・?」
「ピカピ!!」
ずっとサトシの肩に乗っかっていたピカチュウ。その顔はすごくうれしそうである。


  • スレ3-198
  • タケシ母ちゃん
  • 09/03/05 22:00:24
「サトシ・・・」
ヒカリは自分に乗っかっているポッチャマをやさしくをなでる。
「ポチャ♪」
そして、決心したかのようにサトシに言い放つ。
「・・・わ、私もポッチャマと同じくらいサトシが好きだから///」
ヒカリの顔は真っ赤だ。
そして、サトシの反応は・・・
「そうか?ありがとな!」
「・・・・・・・・・」
「どうした?ヒカリ?」
「・・・なんでもないですぅ~!」
(そんなに私とポッチャマは仲がよくないようにみえるのかな~・・・?)
相変わらず鈍感なサトシと、勘違いも天然なヒカリであった・・・。

  • スレ3-199
  • タケシ母ちゃん
  • 09/03/05 22:02:33
「おっ」
サトシとヒカリより少し前で地図とにらめっこをしながら
(そしてこっそり二人の話を聞きながら)
歩いていたタケシは分かれ道にさしかかっていた。
そして、その顔は少しうれしそうだ。
「なるほど、ここを左に行けば目的地だな」
ようやく道がわかったようだ。
「ん・・・?でも・・・右からでも行けるな」
立ち止まり、地図を見ているタケシに後ろから声がかかる。
「なあ、タケシ~。まだ道わからないのか?」
「なによ~。サトシやっぱり早く街に着きたいんじゃないの?」
「なんだよ。ヒカリが早くポケモンセンターに行きたいっていうから・・・」
「それはさっきまでの話!今はもうだいじょ~ぶ!」
と、つないでいる手をサトシの目の前に振り上げるヒカリ。
「///・・・そ、そっか・・・」
そんなヒカリにサトシはなんとなく赤くなる。
左に行けば5分、右に行けば20分で目的地だ。
普通なら左に行くところだが、この二人のことを見てると、
(遠回りでもしていくか)
なんて思ってしまうタケシ母ちゃんであった。

      終


終わった・・・
それにしても・・・
「ピカチュウと同じくらい」って半端ないレベルだと思う