vs GINGA
- スレ3-475
- vs GINGA
- 09/07/02 21:49:11
最後のリボンを目指して旅を続けるあたしたちはとある町に辿り着いた。
町の名前は“ファシオタウン” 町の中央には大きな博物館があり、世界各国の伝説のポケモンたちについてたくさんの本とかがあるみたい。
伝説のポケモンといえば、ディアルガ、パルキア・・・それから湖の3体を思い出す。
そしてそれを狙ってるギンガ団・・・湖のポケモンたちを見てしまったあたしたちは、全くの無関係ってわけでもなくなったみたい。
正直あの人たちが何をやろうとしてるのか分からないし、恐いけど・・・何とかなるよね・・・?
一抹の不安をあたしは覚えた・・・
「サトシ・・・本当にもう大丈夫?」
あたしはサトシの顔を覗き込みながら尋ねる。
「ああもう大丈夫さ! 絶対シンオウリーグではシンジを打ち負かす!!」
サトシから闘志が伝わってくる。 どうやら本当にもう立ち直ったみたい。
あたしはホッと胸を撫で下ろした。
「そう・・・良かった」
「ところで・・・その・・・あ、ありがとなヒカリ」
突然、サトシが口ごもりながらあたしに何か言った。
「え?」
「まだちゃんとお礼言ってなかったからな・・・俺を元気づけるために、あんなに一生懸命・・・すげーカッコ良かった!」
「そ、そんなのいいよ・・・照れるじゃない・・・」
あたしは顔が火照っていくのが分かった。
でも良かった・・・頑張った甲斐があったみたい。
- スレ3-478
- vs GINGA
- 09/07/02 22:28:52
「・・・と言うわけで、夜まで自由行動な」
と、タケシが言う。
「ピカチュウ! 俺たちは特訓だ!」
「ピカ!」
サトシにピカチュウは力強く返事した。
「あたしは・・・そうだここ行こう」
「ここ?」
聞いてきたサトシにあたしは一枚のチラシを見せた。
「木の実屋か・・・新しいポフィンでも作るのか?」
「うん! ポケモンたちのコンディションをバッチリ上げてコンテスト優勝よ! ね、ポッチャマ?」
「ポチャ!!」
あたしが頭の上のポッチャマにそう言うと、ポッチャマは大きく頷いた。
「へえ凄い・・・いろんな木の実がある・・・」
木の実屋さんに着いたあたしは、珍しい木の実に目を輝かせていた。
「ポチャ~!」
ポッチャマは我慢できずにお腹が鳴っていた。
「買ったらすぐにポフィン作ってあげるから待っててね」
あたしはそう言うと、メモを片手に目的の木の実を探す。
「オボンの実に・・・後は・・・マトマの実・・・あった」
マトマの実を見つけ、あたしはそれを掴もうと手を伸ばす。
その時、同時に誰かの手があたしと一緒にマトマの実を掴んだ。
「ちょっと、これは私が先に・・・ってあら? ヒカリさんじゃない」
「ウララ? どうしてここに?」
その手の主は前にコンテストで対決したウララだった。
「コーディネーターが木の実屋にいるのに理由がいるわけ? アンタと同じよ」
ウララは言い終わらないうちに、あたしの手からマトマの実を奪い取った。
「あっ! 何するのよ!? それはあたしが・・・」
「マトマの実はこれが最後の一個なの! ま、どうしてもって言うなら半分に分けてあげても良くってよ?」
「何で上から目線なのよ! でもまあいいや、じゃあ半分貰うね」
ウララの態度に少しイラっときたけど、マトマの実が手に入るならいいやと思って我慢した。
- スレ3-479
- vs GINGA
- 09/07/02 22:40:21
「出来た!」
木の実屋の隣のポフィン調理場で早速ポフィンを作るあたし。
「どうポッチャマ?」
「ポチャポチャ・・・!? ポ、ポチャチャ!!」
暫くポフィンを噛んでいたポッチャマだけど、突然バタバタと走り回り始めた。
「ええ!? どうしたのポッチャマ!? もしかして美味しくなかった?」
「ポチャ・・・」
ポッチャマは舌を出して見せた。 ・・・舌先が薄っすら赤い。
「マトマの実の入れすぎみたいね・・・モモンで中和したら?」
ウララはそう言いながら、ポッチャマにモモンの実を差し出した。
「ポチャ~!!」
ポッチャマはすぐさまモモンの実にかぶりついた。
「あ、ありがと・・・」
「・・・・・アンタ、今リボン何個?」
唐突にウララが聞いてきた。
「え? よ、4個だけど・・・」
「フーン・・・最近調子はどうなの?」
「ま、まあまあかな・・・ウララは?」
「私もまあまあよ・・・て言うか・・・その、わ、悪かったわね・・・アンタのことマグレとか言っちゃって・・・対戦してみて良く分かったわ・・・アンタは本物だって」
ウララが照れながらあたしに言った。
「何よ突然・・・別に気にしてないよ」
ウララって・・・本当はいい子なのかも・・・
「いつまでこの町にいるの?」
「ええと・・・2、3日はいると思うけど・・・」
「そう・・・じゃあ今日の夜ちょっと付き合ってくれない? コンテストバトルの練習に」
「うんいいよ! でも意外だな~ ウララとこんな風に話せるなんてあの時は全然思わなかった」
あの時は本当にそんなこと思っていなかった。 ただのライバルで終わると思ってた・・・
ノゾミみたいにライバルで友達になれそう・・・
でもこの後すぐに事件は起こる・・・
- スレ3-480
- vs GINGA
- 09/07/02 22:56:04
あたしはウララと一緒にポケモンセンターへと向かっていた。
「ねえ、やけにゴルバットが飛んでない?」
「確かに多いね・・・何なんだろう・・・」
そんなあたしたちの前にどこかで見たような集団が現れた。
「ギ、ギンガ団!?」
「ちょ、何なのよこいつら!? 全員同じ服着て・・・何の宗教よ!?」
「ほう・・・我らの名前を知っているのか・・・」
緑色の髪の女の人が前に出てきた。
カンナギタウンでは見なかった人だ・・・でもたぶんギンガ団の幹部だと思う。
「ビーナス様、どうしますか?」
「そういえば青い髪の少女は、エムリットを見た者か・・・よし連れて行け!」
ビーナスと呼ばれた女の人はそう言った。
「ウララ! 逃げ・・・うっ!!」
あたしが言い終わらないうちに、ギンガ団の下っ端によってお腹を殴られた。
「ヒ、ヒカリ!」
「う・・・オエエッ!! おえええ・・・うぐぐ・・・」
あたしは気持ち悪くなって吐いた。 そしてすぐに担がれた。
「ヒカリを返しなさい! ガバイト・・・きゃあっ!」
ウララはガバイトを出そうとしたけど、ゴルバットに攻撃され倒れた。
「そいつは捕らえなくてよい、適当に痛めつけておけ」
ビーナスはそう言うと、下っ端たちに撤退するように命じた。
同時に空からヘリが降りてきた。
「ウ・・・ラ・・・ラ・・・」
あたしはそのままヘリに乗せられた。
「うぐ・・・・・・・・・」
抵抗しても無駄だと悟ったあたしは、おとなしく連れて行かれるしかなかった・・・
「ヒカリ・・・・・・・・うう・・・」
やがてウララも気を失ってしまった・・・
- スレ3-559
- VS GINGA
- 09/07/23 21:53:03
「う・・・・・・」
「お、気がついたか! よかったぜ」
「・・・・・・?」
この声・・・確かヒカリの・・・
「えっと・・・サトシ・・・さん・・・?」
私はベッドから起き上がると、前にいる少年に話しかけた。
「ウララ、お前街の外れで倒れてたんだぞ・・・いったい何があったんだ?」
「街の外れ・・・・・・」
少しずつ私は思い出してみた。 そして真っ先にあの子の顔が浮かんだ。
ヒカリ・・・!?
そうだ! 私たち変な奴らに襲われて・・・ヒカリが!!
「大変なの! ヒカリが誘拐されちゃったの!」
私は声を荒げた。 確かヒカリは奴らに気絶させられて、どこかに連れていかれたんだ・・・
「ヒカリが!? 誰に!?」
サトシさんも動揺したみたいで、私の肩を両手で掴んで言ってきた。
「分からない・・・本当変な奴らで・・・」
「多分・・・ギンガ団じゃないか?」
「タケシ・・・」
目の細い青年が出てきて言った。
確か彼も前にヒカリと一緒にいた人だ。
「ギンガ団って・・・」
シンオウ地方で暗躍しているらしいカルト集団、それがギンガ団。
一般人の私はたいした情報を知らないから、ギンガ団に関する知識はそれくらいだった。
「なんでギンガ団がヒカリを誘拐するんだよ?」
「この町の博物館がさっきギンガ団に襲われたのは知ってるな?」
「ああ、さっき町で大騒ぎしてたな」
- スレ3-560
- VS GINGA
- 09/07/23 21:53:42
とある洞窟・・・
「もう一度聞く、エムリットはどんなポケモンだった?」
「・・・・・・・・・・」
ビーナスがあたしに聞いた。
でも、あたしは俯いたままずっと黙っている。
「おとなしく知ってる情報を吐け。 さもなくば・・・痛い目に遭ってもらう」
ビーナスはそう言うと、モンスターボールを投げた。
ボールからスピアーが出てきて、あたしの首筋に右手の針を突きつけた。
「ちょ、ちょっと・・・そんなので刺されたら痛いじゃ済まないよ!」
「嫌ならエムリットの情報を吐くんだな」
怯えるあたしを尻目にビーナスはそれしか言ってくれない。
「情報って言っても・・・あたしが見たのは影みたいなものだったし・・・」
「ボスは貴様たちがエムリットたちを見たこと自体に興味を持っていた・・・つまり貴様を使えばエムリットを捕獲できるかもしれないということだ」
「捕獲!?」
その言葉にあたしは驚いた。
ディアルガとパルキアをギンガ団が狙ってるのは知ってたけど、湖のポケモンたちまで狙ってるの!?
「だが確かにそれ以上の情報は知らなそうだな・・・オイ!」
ビーナスが言い終わると、ギンガ団の下っ端たちが出てきた。
「この子は縛っておけ、大事な人材かもしれないからな」
「うう・・・・・」
あたしは手足を縛られてしまった。
これじゃ逃げれないよ・・・!
「プルートと連絡は取れたか?」
「そ、それが・・・プルート様は本部に不在のようで・・・」
「まったく・・・本部待機しろと言ったのに・・・あの自由人め・・・」
ビーナスは舌打ちすると、その場を離れた。
- スレ3-562
- VS GINGA
- 09/07/24 20:51:35
「どうだったタケシ?」
「駄目だ」
タケシは俺の問いに首を横に振った。
「ギンガ団の行方は警察が全力で調べている・・・とさ」
「警察なんかに任せてられるか! ヒカリは俺が助ける!!」
「待てよサトシ、当てがあるのか?」
「それは・・・・・・」
タケシの言葉に俺は黙るしかなかった。
確かに当てはない・・・でも、今もヒカリがひどい目に遭ってるかと思うと俺は立ち止まることなんか出来なかった。
「ムクホーク! グライオン! お前たちは空から探してくれ!」
俺はムクホークとグライオンを出した。
空から探したほうが効率がいい。
「俺たちはこっちを探す! 行くぞピカチュウ!」
俺はピカチュウと一緒に走り出した。
「私も行く!」
ウララはそう言うと俺の後ろについて走った。
「しらみつぶし、しかないか・・・」
タケシも同じように走り出す。
「ヒカリ・・・・・・・絶対助ける!」
俺は静かに拳を握り締めた。
- スレ3-563
- VS GINGA
- 09/07/24 20:52:21
「どうにかしてここから逃げなきゃ・・・」
あたしは必死に手足をよじる。
「くっ・・・んう・・・」
でもいくらもがいても、きつく縛られててロープは解けない。
「どうすれば・・・」
ちょうどその時、ビーナスが戻ってきた。
「今からエムリットを捕獲しに行く、貴様も来い」
ビーナスはそう言うと、下っ端に命じてあたしの手足を縛っていたロープを解いてくれた。
「エムリットを・・・捕まえるの?」
「そうだ」
「あ、あたしも行くの!?」
「貴様を感知してエムリットが現れるかもしれない、見たのは貴様一人だったか?」
「ポッチャマがいたけど・・・そ、そうだ! あたしのポケモンたちは!?」
身動きできる状態なら隙を見て逃げられるかも・・・
あたしはそんなことを考えていた。
でも、すぐにあたしは逃げられないことを身をもって知ることになる・・・
- スレ3-566
- VS GINGA
- 09/07/24 22:15:27
「このままじゃ埒があかない、さらに二手に分かれよう」
タケシがそう提案する。
「そうだな・・・ムクホークたちもまだ何も見つけてないようだし」
俺はタケシの提案通りに二手に分かれることにした。
「よし、俺はこっちだ。 サトシとウララはそっちを探してくれ」
「分かった!」
俺たちはそこで分かれた。
「ヒカリ・・・大丈夫だよね・・・?」
俺と一緒に走るウララが今にも泣きそうな顔で言ってきた。
「だ、大丈夫!」
いきなりそんな顔を見せられて、俺は動揺したのか返事が遅くなってしまった。
「やっと仲良くなれたのに・・・こんなのって・・・ヤダよう・・・」
今度はウララはその場にうずくまってしまった。
「お、おいウララ・・・」
ほっとくわけにも行かず、俺も立ち止まった。
「大丈夫だって! ヒカリは必ず助けるさ!」
「サトシさん・・・」
俺はウララの手を取って立たせると、また走り出した。
「ムクホーッ!!」
その時、上空のムクホークが何かを見つけたようだった。
- スレ3-567
- VS GINGA
- 09/07/24 22:15:59
「ポッチャマ!」
「ポチャ~!」
あたしはポッチャマを抱き上げた。
「・・・(ポッチャマ、隙を見て逃げるよ)」
あたしはポッチャマに耳打ちした。
下っ端は1人、ビーナスを合わせても二人。 これならバブル光線で怯んだ隙に・・・
「行くぞ」
ビーナスが後ろを向いた。 今だ・・・!!
「ポッチャマ! バブル・・・!?」
そこであたしの指示がとまった。
「ポチャ・・・アアアアッ・・・!!」
ポッチャマはなぜか倒れて地面を転げまわった。
「ポ、ポッチャマ!? どうしたの!?」
すると、ビーナスの横からスピアーが出てきた。
「・・・・・・毒針だ、そいつには毒を注入した」
「ど、毒!?」
毒という言葉にあたしは動揺した。
「安心しろ死にはしない・・・数分間苦しんだ後に気絶するだけだ。 それより貴様・・・」
そこでビーナスの目つきが変わった。
ゾクッ・・・・・・・・!! あたしの背筋が凍りつく。
「バブル光線の指示は隙をつくって逃げるつもりだったか?」
「ち、違・・・・」
ビーナスの迫力にあたしは思わずそう答えた。
「なるほど・・・子供ながら考えがあるらしいな・・・貴様の自由もやはり奪っておくとしよう」
「っ!?」
ビーナスが言い終わらないうちに、あたしの左腕に激痛がはしった。
しまった・・・毒・・・針・・・
「うう・・・!」
すぐに毒が効き始め、あたしはその場に倒れこんでしまった。
「く、苦しい・・・う、うああああああ!!」
あたしはあまりの苦しさに喉を押さえてのたうち回った。
ガリ・・・・ガリ・・・ 苦しくて無意識のうちに地面を引っ掻く。
「ポ・・・チャ・・・」
同じように苦しんでいたポッチャマはそこで気を失った。
「うわああああん!!・・・・・ママ・・・ママ・・・ママァ・・・助け・・・て・・・」
そこであたしの意識は途切れた。
「何をしている? さっさとこいつらを連れて出発準備しろ!」
ビーナスは下っ端に命じた。
「は、はいすぐに!」
- スレ4-68
- vs GINGA
- 09/08/26 07:29:21
「う・・・うう・・・」
しばらく眠っていたあたしは意識を取り戻した。
「うっ・・・・・」
まだ毒のせいで頭痛がしたり、吐き気もした。 それに何だか手足が動かしづらい。
そうじゃなくても、もうあたしにあいつらに逆らう気力は残っていなかった。
今度何かしようものなら、あたしは・・・
「目覚めたようだな」
ビーナスの声が聞こえる。
あたしが振り向くとそこには、スピアーを従えたビーナスの姿があった。
「行くぞ」
ビーナスが冷たく言うけど、あたしは無言で頷くしかできなかった。
生まれて初めて、本当に殺されるかと思った。
その恐怖があたしから抵抗の意思を完全に砕いてしまっていた。
「ムクホーク・・・ヒカリを見つけたのか!?」
上空を飛んでいたムクホークに導かれるように私たちは走った。
「これは・・・」
目の前には・・・広場のように開けた空間があり、所々視界がぼやけて見える。
「ここに何かあるの・・・?」
私がそう呟くと同時に、空間の奥に洞窟のような入り口らしきものが現れた。
「洞窟・・・?」
「まさか、ヒカリはこの中にいるんじゃ・・・」
「ムクホークもここが怪しいって言ってるみたいだ・・・ギンガ団がいるかもしれないから、俺から離れるなよ」
サトシさんはそう言うと、洞窟に近づいていった。
「あれぇ・・・なんで子供がいるのかね~?」
その時、私たちの背後に一人の男が現れた。
「ギンガ団か!?」
「当たりだよ~ 私の名はウラヌス・・・そろそろ出発なんで、散歩がてら見張りしてたんだけど・・・君たち~・・・何の用だい?」
飄々とした口調で男・・・ウラヌスが話す。
その態度が逆に私を警戒させた。
「サトシさん! 気をつけて!」
「分かってる! ヒカリは無事なんだろうな?」
少し距離を取ると、サトシさんはウラヌスを睨みつけて言った。
「ヒカリ・・・? ああ、あの可愛らしいお嬢ちゃんか~・・・ビーナス君は短気だからねぇ・・・無事じゃあないだろうねぇ~」