酔い霞
- スレ1-69
 
- 酔い霞
 - 07/09/07 19:49:21
 
 4作目投下 
 感想励みになってるよ・・・、みんなありがとう!   
 綺麗に磨かれた淡い桃色のタイル、それが敷き詰められたポケモンセンターの厨房で、ヒカリはポフィン作りでの味の組み合わせの相性を試していた 
 ポケモンの性格で好きな味は決まる、そしてそれに適したポフィンを作るのはコーディネーターならば当然のことであり、ヒカリも例外ではない 
 以前は一度失敗したものの、もう一度作ったものはおいしそうにポケモンたちが食べてくれた 
 今度はさらにおいしいものを作ろう、そう意気込んでのことだった。 
 隣ではタケシが、酒の入ったデザートでも作ろうと、材料を準備しながらヒカリのサポートをしている。 
 (少しのどが渇いたなぁ) 
 秋に入ったとはいえ、夏の名残、俗に言う残暑がある。 
 外はまだ暑い。 
 厨房ではほかのトレーナーが火を使ったりもするためなおさらだ。 
 「タケシ、ちょっと水頂戴。」 
 「ああ、確かその辺に・・・」 
 タケシがどこだったか・・と流し台を一瞥している間に、ヒカリは軽量カップに入った透明な液体を見つけた。 
 量は少ない。しかし無色透明だし、これが水だろう、とヒカリは一気にそれを飲み干した。 
 量が少なかったため、本当に一瞬で飲み終わる。 
 のどがカッと熱くなる様な感覚と、タケシが叫んだのは同時だった。 
 「ヒカリ!それはデザートに使う酒だぞ!!」 
 タケシはいやな予感がしていた。 
 なんとなく、だが。ヒカリに酒を飲ませたら大変なことになりそうな気がしていたのだ。 
 「た~け~し~。」 
 「ひ、ヒカリ・・・大丈夫か・・?」 
 「らいじょ~ぶよ?にゃにいってるのタケシ」 
 呂律が少しへンだ。 
 やっぱり酔っている。 
 すぐに本物の水を飲ませなければ、と水を用意した矢先だった 
 「たけし~、水もう少しもらうわよ~」 
 今度は酒瓶に入った酒を一気に。 
 半分は飲んでしまった。  
 
- スレ1-71
 
- 酔い霞
 - 07/09/07 20:05:56
 
 「らーかーらー、あらしは酔ってにゃーいの!ひっく!」 
 とりあえず、ウソッキーにサトシを呼んできてもらい、ヒカリをジョーイさんのところに運んでもらった。 
 とうとう呂律が回らなくなって、何を言っているのかわからない。 
 サトシは理解できているようだが・・・・。 
 タケシは、ヒカリが酔ってひっくり返したなべやら材料やらを片付けるため雑巾を絞った。   
 「ヒカリ、何で酒なんか飲んだんだよ」 
 「あらひはお酒なんかのんれらーいわよ。ひろりで歩けーるぅ」 
 サトシの腕を引きはがして、ヒカリが一人で歩き出す 
 しかしバランスがとれずに、よたよたとゆれて頃すぐに転びそうになった 
 酔っ払いの足取りをオニスズメ足という理由が、わかった気がする。 
 サトシは今にもこけそうなヒカリに肩を貸して、ジョーイのいるカウンターへとどうにかたどり着いた。   
 わけをジョーイに話すと、ジョーイはすぐに水と、酔いを醒ます薬を取りに行ってくれた 
 待ってる間、ヒカリと受付近くのソファーに座る。 
 対面側の席に女性トレーナーが座ると、なぜかヒカリは不機嫌そうにテーブルをたたいた。 
 酔っ払いのやること、ときにする人はいなかったのだが、女性トレーナーにだけやるあたり理解できない 
 普段はそんなことをするような性格ではない。 
 「ヴゥ~~~」 
 まるで犬が餌をとられるところを唸り返すように、ヒカリが唸る。 
 「らいたい(だいたい)ね~、あたひはころも(子供)なの。だかるぁお酒なんて飲めるはずにゃい、にゃいの」 
 薬を持ってくるだけ・・・とは行ったものの、ポケモンセンタをー仕切るジョーイは忙しい。 
 しばらくの間、ヒカリはサトシのp肩に頭を乗せて、呂律の回っていない口で同じことを繰り返ししゃべっていた。  
 
- スレ1-72
 
- 酔い霞
 - 07/09/07 20:18:08
 
 「・・・」 
 どのくらいたっただろうか。 
 間食時になってから、ジョーイは「待たせてごめんなさい」といいながら薬と水を持ってきてくれた。 
 トレーナーがいつにも増して多かったらしく、小一時間は待っていたと思うが、その間にもヒカリの酔いがさめることはなかった。 
 ヒカリはジョーイにまで唸っている。 
 なぜ唸っているのか、サトシにはまったく理解できない。 
 女性にだけ唸っているから、女の人が嫌いなのかと思ったがそれはありえない。 
 どうにか薬を飲ませて、部屋まで運ぼうとヒカリを背負う。 
 落ちる危険はあったが、ジョーイさんが後ろから支えてくれているし、こちらのほうが早い。 
 へぇ~やらうぅ~やら唸ったり甘ったるい声を出したり。 
 桜色に染まったヒカリの顔は緩みきっていて、なんとなくいつもと違う気がする。 
 同じヒカリであるはずなのに、酔っているせいだろうか? 
 部屋につく頃にはヒカリは背中で眠っていて、いつの間にか静かになったヒカリに、少しさびしさを覚える。 
 「薬が効いてきたのね、一晩安静にしていれば、二日酔いも出ないと思うわ」 
 ジョーイはそういい残して、部屋を出て行った。    
 
- スレ1-74
 
- 酔い霞
 - 07/09/07 21:10:29
 
 サトシはヒカリをベッドの上に寝かせると、毛布をかけて自分もベッドに腰掛けた。  
 少し汗ばんでいるが、静かに眠っている。  
 タケシもすぐに戻ってきて、起こさないように、静かにしている。  
 タケシもヒカリがこんなに酒に酔いやすいとは思っておらず、予想外だったのか微妙な表情だ。  
 「ひゃとし(一応サトシと言ってる)は心配性にぇー。ヒック」  
 「俺の夢見てるのか」  
 どんな夢を見ているのか、少し気になる。   
 「サトシ、買出しに行って来るからヒカリのこと見ててくれ」  
 「ああ、わかった」  
 パタン、と扉が静かに閉まって部屋にサトシとヒカリだけになる。  
 いつもならピカチュウもいるだろうが、今はジョーイに預けてあるから本当に二人だけだ。  
 時計の針の音がやけに大きく感じる。  
 さと、どうしようか。  
 唯一はなす相手のタケシは今はいない。   
 仕方なくサトシは、各部屋に何冊か置かれている雑誌のひとつを手に取った。  
 コンテスト関係のことも書かれている雑誌で、それに関係する品物や、ちょっとしたコンテストバトルのテクニックなんかも書いてある。  
 クロガネジムで、ヒカリのコンテストバトルのやり方に助けてもらって以来少し気になっていただけに、ちょうど良かった。  
 「あ、これヒカリが喜びそうだな」  
 目に留まったのはポッチャマとピカチュウの細工が施された櫛で、髪をとかすのを欠かさないヒカリにはちょうどいいかもしれない。  
 今度かって驚かせてみようか、と考えてみる。  
 ちらりとヒカリを見てみれば、脇においてあったサトシの帽子を抱きしめながら寝言をつぶやいていた。  
 サトシは自分の対面席に座った女性トレーナーにのみ唸っていたのは何だったのだろうと考えてみたりもしたが、答えは見つからなかった。  
 ただ、そのときヒカリが自分の服のすそをつかんでいたあたり自分に理由があるような気がしないでもないが、心当たりもない。  
 考えるだけ無駄だろう、とサトシは疲れた目を雑誌から離した。  
 「少し寝よう」  
 やることもない。たまには寝るのもいいかもしれない。  
 そう思ってサトシはそのままヒカリが眠るベッドの近くのいすに座って眠った。  
 明日は町でちょっとしたイベントがある。  
 ヒカリを誘っていってみよう。  
 そんなことを思いながら。   
 
- スレ1-75
 
- 酔い霞
 - 07/09/07 21:11:06
 
 オマケ  
 「ヒカリ、これやるよ」  
 サトシが放送された包みを渡す。  
 サトシが贈り物なんて珍しい、と思いながらも、ヒカリは包みを開けた。  
 「わぁ、かわいい。どこでみつけたの?これ」  
 「町のイベントのときに買ったんだよ。ヒカリそういうの好きだろ?」  
 好きとはちょっと違う気もするが、そろそろ新しい櫛がほしいと思っていたので、ちょうど良かった。  
 「ほんとにありがとね、サトシ」  
 しかし、櫛をもう一度見てみると、違和感があって、ヒカリはもう一度、櫛を見てみた  
 「サトシ、これ」  
 「どうした?」  
 「この櫛ポケモン用。」  
 「あ」    
                 了    
 う~ん、酔っ払いの表現って難しい・・・。  
 町のイベントの話は機会があったら書こうと思います。  
 
- スレ1-76
 
- 酔い霞
 - 07/09/07 21:12:17
 
 上のオマケで誤変換 
 ○包装 
 ×放送です