小さきもの

  • スレ4-366
  • 小さきもの - 1
  • 09/11/23 14:03:11
サトシ目線。
若干キャラ崩壊しています。

「おやすみ、ヒカリ」
「おやすみー」

オレ達はとある街の外れにあるホテルに来ていた。
ホテルといってもそれほど立派なところではない。
トレーナー向けの安いホテルだ。

それぞれ部屋を一つずつ、
突き当りの部屋がタケシ、真ん中がヒカリ、
そして一番右の部屋をオレが使うことにした。
部屋に入り、みんなすぐに眠りについた。

―どれくらい経っただろうか。
オレは微かに聞こえるすすり泣く声で目を覚ました。

ぼんやりと目を開け、耳を澄ますと
それは隣の部屋から聞こえてくるものだった。

ヒカリが泣いてるのか…?

心配になったオレは
すぐにベッドから降り、隣の部屋へ向かった。

なおもまだヒカリの
すすり泣く声は聞こえている。

ドアの前に立ち、
そっと二回ほどノックをした。

―トントン。
「…ヒカリ、どうしたんだ?」

返事が返ってこない。
オレは益々心配になった。

  • スレ4-369
  • 小さきもの - 2
  • 09/11/24 20:11:25
サトシ目線。
若干キャラ崩壊しています。

「ヒカリ、入るぞ…」

オレは緊張しながらそっとドアを開け、
ヒカリの姿を探した。

ヒカリはベッドの上で
顔をぐしゃぐしゃにして泣いていた。
ヒカリは涙目でオレを見つめた。

「サトシ…っ、ふぇぇぇん!」

ヒカリがまた泣き出したので、
オレは慌ててベッドに近寄り、彼女のすぐ隣に座った。

「どうした、腹でも痛いのか?」
「…えりたい…っ」
「えっ?」
「おうち…かえりたいっ…!」

オレは少しきょとんとした。
昼間はあんなに元気だったヒカリが、突然ホームシックだなんて…。

どうしたらいいかわからなかったけど、
とりあえずヒカリの頭を撫でてあげた。

「そっか、ヒカリもママに会いたいんだよな…。」
「…ふぇぇ、ママのとこに帰りたい…」

ヒカリがオレに抱きついてきた。
思わず固まってしまったが、
すぐにこんなことしてる場合じゃないと思い、
オレも優しくヒカリを抱きしめた。

ヒカリがオレの胸の中で泣いている。

普段は、あんなに元気なヒカリも、
本当はやっぱり自分の家が、ママが恋しいんだ…。

オレはヒカリが自分よりずっと小さい存在なんだ、
か弱い女の子なんだ、そう思い一層強く抱きしめた。


  • スレ4-373
  • 小さきもの - 3
  • 09/11/26 18:52:57
サトシ目線。
若干キャラ崩壊しています。

ヒカリもやっと落ち着いてきたようだ。

「サトシ…」
「ん?」
「一緒に寝ていーい?」

ヒカリが潤んだ瞳でそんなことを言うので、
オレは思わずドキッとした。

「お願い…」

ヒカリがオレのパジャマの左袖をぎゅっと握る。
オレの心臓が一瞬壊れそうになった。

そしてオレはヒカリをもう一度ぎゅっと抱きしめた。

「わかった。ほら、寝よう」

オレが布団をめくり、ヒカリの寝るスペースを設けると、
彼女はすぐに自分の隣に甘えるようにぴったりとくっついた。

そして、オレは小さな小さなヒカリに布団をそっとかけ、
彼女が眠りにつくまで背中をポンポンと優しく叩いていたのだった。

☆おしまい★


本当はタケシも絡ませようかと考えていたのですがアイディアが浮かびませんでした。